「自信を持たなきゃ」は、「自分への厳しさ」でしかない。
「ムチ」では、人は幸せになれません。
気持ちを少し、ゆるめてみませんか。
そんなに、自分を責めなくていいんです。
でも、もう疲れた……
自分に優しくしていますか。人生のどの部分でもっと思いやりや許しの心をもつことができるでしょうか。
(「ハーバードの人生を変える授業」)
疲れたとき。落ち込んだとき。
自分にムチを打ち、自分を責め、自分を批判していては、変われない。
「自信を持たなきゃ」は、逆効果なんです。
Contents
セルフ・コンパッション:自分への思いやり
ツラい時には、「自信」よりも「思いやり」
困難な経験に対処するためには、自己信頼感が重要であるとする多くの研究があります。しかし近年心理学者のマーク・R・レアリーらは、とくに困難な時期においては、自己信頼感よりも自分に対して思いやりの気持ちをもつほうが効果的であることを発見しました。
(「ハーバードの人生を変える授業」)
- つらい思いを、そのまま受け入れること
- 困難な出来事が起こるのは仕方がない、と認めること
- 自分自身を理解し、自分にやさしくしようとする気持ち
受け入れ、認め、理解して、やさしくする。
思いやりとは、「否定をしない」ことですね。
もっと、自分を許してみてください。
思いやりとは、自分を許すこと
自分自身への思いやりを持てば、失敗したときに、成功の妄想を追う必要もなければ、改善の見込みがないと落ち込む必要もない。ばかげた期待を膨らませたり、目標に届かないと自分を責めたりしてヨーヨーのように上がり下がりすることもない。私はなんて素晴らしいんだ、と自分に嘘をつく必要もない。そのかわり、うまくいかないときには、自分を許すことに心を注げばいいのだ。
(「残酷すぎる成功法則」)
うまくいかないときほど、自分を許す
自分を許すとは、たとえば。
- 怒ってはいけないときに、怒りをぶつけてしまったときも。
- 自分の不注意で、大失敗をしてしまったときも。
- 誰かを傷つけてしまったとしても。
どんなときでも、「自分を許す」。
実は、「自分にやさしくする」ほうが、やる気はアップするそうです。
自分にやさしくすると、やる気と自制心がアップする
自己批判はつねにモチベーションの低下や自己コントロールの低下を招きます。また、自己批判はうつ病の最大の予兆であり、うつ状態では「やる力」や「望む力」が失われてしまいます。これに対し、自分への思いやり──自分を励まし、自分にやさしくすること──は、やる気の向上や自制心の強化につながります。
(「スタンフォードの自分を変える教室」)
批判するでもなく。責めるでもなく。
自分を許し、自分を励まし、自分にやさしくする
すると、無理なんてしなくても、自然とやる気が満ちてくるから。
その考えこそが、ウツを引き起こします。
「思いやり」がないと、ウツを招く
たくさんの悲しいこと・ツラいことが、あったかもしれません。
でも勘違いしないで。
- 起きた出来事は、決して深刻ではない
- 自分が弱いのでもない
- 絶望的なほどの失敗でもない
問題は、たったひとつ。
必要以上に、自分で自分を落ち込ませ、自分を傷つけていること
あるいは周囲が、「善意」の名のもとに追い込んでくるのかもしれません。
間違った処方せんに気づきましょう。
間違った方法1.自己批判をする
- なぜ、あんなことをしてしまったのだろう
- なぜ、自分はこうなのだろう
自分を責め、自分を批判し、自分を許さない。
そこから生まれるものは……
深い深い、罪悪感
罪悪感は、おそろしいほど長期間にわたって、自分の心に居座りつづけ、自分自身を苦しめます。
出発は、ほんのちょっとの自己批判。
間違った方法2.無理したポジティブ思考
- 私にはできる
- こんなの、大したことない
- 私って、素晴らしい人間なんだ
もちろん、心から思えているならいいのですが。
もしも無理して笑っているなら……
自分へのウソでしかない
ウソもまた、自分を苦しめますね。
セルフ・コンパッションの驚異の効果
すべてを解決してくれる、とっておきの魔法
セルフ・コンパッションをすると、次のような効果があります。
- 気分がよくなる
- 自己過信を防ぐ
- ごう慢にならない
- ナルシストにおちいらない
- 自己満足だけでもない
- 自己憐憫(れんびん)でもない
- 自分を責めることもない
- 正確に現状を認識できる
- 仕事の成果が上がる
しかも。
得られる心理的メリットは、こんなにステキ
- 幸福感
- 楽観的
- 主体性
- 他者とのつながりによる充足感
さらに。
このような不調も、緩和できる
- 気分的な落ち込み
- 不安感
- 抑うつ感
- 神経症的な完璧主義
- 依存症
これが、科学的にも実証された方法と効果。
自己愛と、他者への愛に違いはない
チベットの伝統的な考え方では自己愛と他者への愛に違いはありません。つまり自分自身に対しては厳しいのに、隣人に対しては寛容だということはないのです。
(by ダライ・ラマ)
自分への態度と、他者への態度は、やはり一致しているのです。
だから。
- 自分に厳しい人は、他者にも厳しい
- 自分を責める人は、他者も責める
- 自分を許せない人は、他者も許せない
よく問題になる、ネット上で誹謗中傷をする人も、きっと、自分自身を許せてない人なのだと思います。
自分への攻撃が、他者への攻撃に変わる。
だから。
自分への思いやりもまた、他者への思いやりに変わる。
まとめ
変わりたいときは、「厳しさ」よりも「思いやり」
【自分を思いやると、こうなる】
- 気分がよくなる
- 自己過信を防ぐ
- ごう慢にならない
- ナルシストにおちいらない
- 自己満足だけでもない
- 自己憐憫(れんびん)でもない
- 自分を責めることもない
- 正確に現状を認識できる
- 仕事の成果が上がる
【思いやりで得られる心理的メリット】
- 幸福感
- 楽観的
- 主体性
- 他者とのつながりによる充足感
【思いやりで緩和できるもの】
- 気分的な落ち込み
- 不安感
- 抑うつ感
- 神経症的な完璧主義
- 依存症
起きた出来事は……
- 決して深刻ではない
- 「自分が弱いから悪い」わけじゃない
- 絶望的な失敗でもない
ただ、「自分に厳しい」ことだけが、問題。
【これでは、いつまでも立ち直れない】
- なぜ、あんなことをしてしまったのだろう
- なぜ、自分はこうなのだろう
↑「自己批判」は罪悪感を強めるだけ
【ポジティブ思考も危険】
- 私にはできる
- こんなの、大したことない
- 私って、素晴らしい人間だ
↑「ごまかし」にすぎない
【思いやりとは】
- ツラい思いを、そのまま受け入れる
- ツラいのも仕方がない、と受け入れる
- 自分を理解し、自分にやさしくしようとする
自己愛は、他者愛へと変わる





