劣等感で苦しいときに感情を書き出す6つの手順【アドラー心理学】

劣等感

嫌われる勇気」の主人公(青年)は、劣等感のかたまり。

 

青年は幼いころから自分に自信が持てず、出自や学歴、さらには容姿についても強い劣等感を持っていた。そのおかげだろう、過剰なほど他者の視線を気にしてしまうところがあった。そして他者の幸福を心から祝福することができず、いつも自己嫌悪に陥っていた。

 

「嫌われる勇気」は、青年と哲人との対話形式による、アドラー心理学の解説書。

 

主人公の青年は、出自・学歴・容姿に強い劣等感を抱いている。

だから、他者の目が気になる。

他者の幸福を喜ぶことができない。

そんな自分に自己嫌悪……。

 

きっと、誰もが同じような思いを抱いているのでしょう。

だから「嫌われる勇気」は共感を呼び、世界的ベストセラーになっているのだと思います。

 

さて、この劣等感に対して、アドラーは、どのような答えを出してくれるのでしょうか。

そして、劣等感から抜け出すには、具体的にどうしたらいいのでしょう。

 

劣等感から抜け出したい……

 

感情を書いて整理するオススメの6つの手順があるので、アドラー心理学とともにご紹介します。

 

参考図書

 

 

 

劣等感を卒業する6ステップ

アドラーの答えを見る前に、まずは、自分の劣等感について書き出す手順を確認します。

まずは書いてみよう

  1. 自分が気にしていることを全部書く
  2. 人がどう思っているかを書く
  3. 自分にとって何が大切なのかを書く
  4. 周りの人がもっている劣等感を書く
  5. 自分の劣等感を誰が気にしているのかを書く
  6. 劣等感は、自分の心の持ちようにすぎないことを理解する

 

メモ書きの参考例

 
  • どういう時、特に劣等感を感じるのか
  • いつからこんなに劣等感を感じるようになったのか
  • 劣等感を持っている自分は、友人にどう見えているか
  • 劣等感をもし隠すことができたら、友人にはどう見えるか
  • 劣等感がなさそうな友人は本当に劣等感がないのか
  • 劣等感がなさそうな友人はどうやってあの元気を維持しているのか
  • 劣等感を持たずにすむ相手がいるか
  • 特に強い劣等感を感じる相手は誰か、どうしてか
  • 自分にとって劣等感とは何なのか
  • 劣等感を無視することはできないか
  • 自分の劣等感を誰が気にしているか
  • 自分にとって何が大切なのか
  • 劣等感とは、心の持ちようなのか

 

とはいえ、「劣等感」をどう扱えばいいのか、よくわかりませんね。

そこで役立つのが、「嫌われる勇気」の話。

実はアドラーは、「劣等感は役に立つ」と言っているのです。

 

さて、どういうことでしょう。

「劣等感」と「劣等コンプレックス」を区別する

「劣等感」は、成長への刺激

アドラーは「優越性の追求も劣等感も病気ではなく、健康で正常な努力と成長への刺激である」と語っています。劣等感も、使い方さえ間違えなければ、努力や成長の促進剤となるのです。

 

優越性の追求とは

「できないこと」を、「できるようになりたい」と追求すること

 

「優越性の追求」の目的は、「理想の自分」になることです。

だから私たちは常に、理想や目標を掲げるのです。

理想に向かって頑張ることは、いいことですよね。

 

「劣等感」とは、「理想の自分」との比較

「できない自分」は劣っていると思う。

だからこそ、できるように努力する。

 

つまり。

「理想の自分」と「今の自分」を比較することが、健全な劣等感!

 

「劣等コンプレックス」は、「他者」との比較

競争や勝ち負けを意識すると、必然的に生まれてくるのが劣等感です。常に自分と他者とを引き比べ、あの人には勝った、この人には負けた、と考えているのですから。劣等コンプレックスや優越コンプレックスは、その延長線上にあります。

 

  • 健全な「劣等感」は、理想の自分と今の自分との比較
  • 「劣等コンプレックス」は、他者と自分との比較(=競争)

 

劣等感を持つことは、向上心につながるから、いいこと。

苦しくなるのは、他者と比較するから。

つまり、他者との競争に生きている限り、劣等感の苦しみから抜け出せません

「他者との競争」を人生の目的としている

「他者との競争」が目的だからこそ、劣等コンプレックスさえも、人の上に立つ道具にしようとします。

いわゆる「不幸自慢」という状態。

 

「わたしは学歴が低いから、成功できない」と考える。あるいは「わたしは器量が悪いから、結婚できない」と考える。このように日常生活のなかで「Aであるから、Bできない」という論理を振りかざすのは、もはや劣等感の範疇に収まりません。

 

たとえば、次のことに、正当な因果関係はあるのでしょうか。

  • 容姿が悪いから、恋愛ができない
  • 両親が離婚したから、自分も結婚できない
  • いじめられた経験があるから、人を信じられない

 

「Aだから、Bできない」と言う人は……

「Aさえなければ、Bできる」と思っている。

 

通常なら、どんな条件であろうとも、「Bできる」ように努力するもの。

けれども「Aがある」ことを言い訳にして、努力を放棄する。

 

なぜなのか?

「Aがある自分」を特別視することによって、人の上に立とうとするから!

 

実は、劣等感を利用して、人の上に立とうとしているのだと、アドラーは言います。

弱さを武器にしているのだ、と。

 

こう考えると、「劣等感」は、自ら積極的に持っているように思えてきます。

劣等感は、主観である

客観的な「劣等性」ではなく、主観的な「劣等感」

「嫌われる勇気」の中で、哲人は若い頃、「身長が低いことが劣等感」だったと語ります。

ただし、それは自らが勝手に思っていた「主観」だったと。

 

わたしが自分の身長に感じていたのは、あくまでも他者との比較――つまりは対人関係――のなかで生まれた、主観的な「劣等感」だったのです。もしも比べるべき他者が存在しなければ、わたしは自分の身長が低いなどと思いもしなかったはずですから。あなたもいま、さまざまな劣等感を抱え、苦しめられているのでしょう。しかし、それは客観的な「劣等性」ではなく、主観的な「劣等感」であることを理解してください。

 

つまり、「背の低い自分はダメだ」と、自分で解釈した。

それが「主観」という意味。

だから「劣等」です。

劣等」だと、自分で主観的に「」じているのです。

「劣等感」は、主観的な解釈であり、勝手な思い込みである

自分の身長も「人をくつろがせる」とか「他者を威圧しない」という観点から見ると、それなりの長所になりうるのだ、と。もちろん、これは主観的な解釈です。もっといえば勝手な思い込みです。

 

「劣等感」が「主観的な解釈」であるならば。

自分の解釈を変えてしまえばいいことになります。

 

なぜなら……

「主観的な解釈」とは、自分で決めたことだから!

 

自分で決めたことだからこそ、自分で変えられるのです。

 

何を選びたいのか?

主観にはひとつだけいいところがあります。それは、自分の手で選択可能だということです。自分の身長について長所と見るのか、それとも短所と見るのか。いずれも主観に委ねられているからこそ、わたしはどちらを選ぶこともできます。

 

長所と見るのも、短所と見るのも、自分の選択によること!

ならば、どっちを選びたいのか?

「自分にとって大切なものは何か?」という見きわめと選択が、重要になってきます。

 

でも、どうしたらいいのか、よくわからないよ?

 

「自分にとって大切なこと」を選ぶためにはどうするか?

それは……

「他者の期待を満たす生き方」をやめること!

「あの人」の期待を満たすために生きてはいけない

「わたし」のことを考えて生きてていい

あなたは、あなただけの人生を生きています。誰のために生きているのかといえば、無論あなたのためです。そしてもし、自分のために生きていないのだとすれば、いったい誰があなたの人生を生きてくれるのでしょうか。われわれは、究極的には「わたし」のことを考えて生きている。そう考えてはいけない理由はありません。

 

アドラー心理学では、「承認欲求の否定」を重視します。

「承認されるため」とは、言いかえれば、「他者の期待を満たすため」。

そこにこそ、苦しみの根源がある!

……という主張です。

 

「劣等感」で悩んでしまうのも、他者の視線を気にするからですよね。

他者の視線から解放されることができれば、悩むことはなくなるわけです。

仕事も、他者の期待を満たすためではない

たとえば仕事の主眼が「他者の期待を満たすこと」になってしまったら、その仕事は相当に苦しいものになるでしょう。なぜなら、いつも他者の視線を気にして、他者からの評価に怯え、自分が「わたし」であることを抑えているわけですから。

 

では、「何のために」行動したらいいのでしょうか?

健全な「劣等感」とは何であったかを思い出してみましょう。

 

健全な「劣等感」は、「理想の自分」と「今の自分」との比較だった。

 

他者との競争ではなく、理想の自分との戦い

他者との競争ではなく。

他者の期待を満たすことでもなく。

理想の自分を目指し、理想の自分と比較すること。

 

そうすれば、劣等感は成長へのバネになるというのです。

 

このアドラー心理学を参考にしたうえで、「劣等感を卒業する6ステップ」で自分の気持ちを書き出してみましょう。

きっと新たな側面が見えてくるはず。

とにかく書き出してしまおう

劣等感を卒業する6ステップ

  1. 自分が気にしていることを全部書く
  2. 人がどう思っているかを書く
  3. 自分にとって何が大切なのかを書く
  4. 周りの人がもっている劣等感を書く
  5. 自分の劣等感を誰が気にしているのかを書く
  6. 劣等感は、自分の心の持ちようにすぎないことを理解する

 

1.自分が気にしていることを全部書く

とにかく、書き出すことが重要!

 

マコなり社長が言うように……

文章にすること以外は、考えてることにならない!

 

劣等感を「気にする」のではなく、しっかりと紙に書き出して考えることです。

ゼロ秒思考マコなり社長も認める、「ゼロ秒思考」のメモ書きの効果

 

2.人がどう思っているかを書く

自分が気にしていることを書いたあとは……

周囲の人は、自分のことをどう思っているのか?

 

  1. 想像しながら、書き出してみる。
  2. それは直接言われたのか? どうなのか?

 

心理学で、「エンプティー・チェア」という療法がありますが、それをメモ書きで代用するのです。

  1. 自分の立場から、相手に話しかける(書き出す)。
  2. 相手の立場から、自分に向かって話しかける(書き出す)。
エンプティ・チェア【自己との対話】エンプティ・チェアとインナーマリッジのすすめ|過去と和解する方法

 

「思い込みだったかも?」と気づくでしょうか。

劣等感は、「主観的な解釈」であり、すべて「思い込み」。

「自分で選択した解釈」というのがアドラーの教え。

 

また、もしも誰かに言われたのだとしても……

「他者の期待を満たすために生きてはいけない」と、選択できるでしょうか。

 

3.自分にとって何が大切なのかを書く

  1. 自分が本当に大切にしたいことは、何?
  2. 自分の本当の気持ちは、何?

 

大切なことがわかれば、劣等感があろうとなかろうと関係なくなりますよね。

劣等感を、長所と見るか、短所と見るか。

大切なことを見きわめれば、どんな解釈を選びたいかが、浮かんでくるはずです。

 

なお、書くときには、何も考えずにパパッと書くと、本音が出やすくなると言われています。

時間をかけずに1分で、「自分にとっての大切なこと」を書いてみましょう。

 

4.周りの人がもっている劣等感を書く

これも、周りの人のことを想像しながら、書いてみること。

自分だけではなかった、皆もそうなのだと思えば、気持ちが落ち着いてきます。

 

5.自分の劣等感を誰が気にしているのかを書く

誰が気にしているか?

考えてみれば、誰も気にしていないのかもしれません。

気にしているのは自分だけ。

ならば、他者の期待を満たすことなんて、そもそもできないですよね。

 

6.劣等感は、自分の心の持ちようにすぎないことを理解する

自分には、劣等感以上に大切にしたいものがある。

自分だけではなく、周囲の誰もが劣等感をもっている。

しかも、自分の劣等感を誰も気にしていない。

それが見えてきたら、だんだんと、どうでもよくなってきます。

 

「他者の生き方」ではなく、「わたしの生き方」を選べばいいんだな。

 

世界一シンプルなこころの整理法」の著者・赤羽雄二さんは、次のように語っています。

  • あなたは何も悪くない。周囲が悪い。
  • 本人にそういう思いをさせ、悪循環に陥らせた周囲の責任のほうが大きい。
  • 性格的に劣等感を刺激されやすい人はいるけれど、過度に刺激しなければ問題は起きなかった。
  • 自分で自分を褒めるのではなく、他者から褒めてもらいなさい。
  • 自分を否定する人はスルーしなさい。
  • 自分に劣等感があると、スルーできない。
  • easy-goingでいけ!
  • なぁ~んにも気にしなくていい。

 

「気にしない」境地になることが、とっても重要!

スルースキルを磨きましょう。

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劣等感を抱くのは周囲の責任、抜け出すのは自分の責任

「自分は何も悪くない」と思うことがポイント

劣等感をもってしまったのは、周囲の責任が大きいのです。

劣等感をもつように、仕向けられてしまった。

なぜなら、「出る杭は打たれる」のが日本社会だからです。

どうしても足を引っ張ろうとする。

これは、古来から変わらない、日本人のクセ。

 

自分のせいではない。環境のせいである。

 

そこを自覚するだけでも、少し、落ち着きを取り戻すことができます。

「劣等感をもってしまう自分は、弱くてダメな人間なんだ」という思いが、ますます自分の行動をさまたげるのです。

「自分が弱いから悪い」というのはウソ!

「自分が、敏感すぎるから」

「自分が、気にしすぎるから」

「自分が弱いから、こうなってしまったんだ」

 

そんな思いを抱くこともあります。

 

でも、刺激を受けやすい性格ならば、周囲の人は、配慮すべきなのです。

わざわざ大きな刺激を与える必要はないし。

「あえて谷底に突き落とす」意味も、ありません。

自己嫌悪を抱かせるほうが悪い。

 

「自分のせいではない」

これでいいんだ。

大人になったら、自分で劣等感から卒業しよう

周囲が悪いとはいえ、いつまでも周囲のせいにしていたら、自分が成長できません。

悪いのは周囲だったと思いつつも、これからはやはり、自分で努力するしかないのです。

うらむのではなく、自分で抜け出す力を、自分につける。

そして、次は自分が、周囲に劣等感を抱かせるようなことはしない。

それこそ、学びと成長です。

まとめ

劣等感を卒業する6ステップ
  1. 自分が気にしていることを全部書く
  2. 人がどう思っているかを書く
  3. 自分にとって何が大切なのかを書く
  4. 周りの人がもっている劣等感を書く
  5. 自分の劣等感を誰が気にしているのかを書く
  6. 劣等感は、自分の心の持ちようにすぎないことを理解する
 
メモ書き例
  • どういう時、特に劣等感を感じるのか
  • いつからこんなに劣等感を感じるようになったのか
  • 劣等感を持っている自分は、友人にどう見えているか
  • 劣等感をもし隠すことができたら、友人にはどう見えるか
  • 劣等感がなさそうな友人は本当に劣等感がないのか
  • 劣等感がなさそうな友人はどうやってあの元気を維持しているのか
  • 劣等感を持たずにすむ相手がいるか
  • 特に強い劣等感を感じる相手は誰か、どうしてか
  • 自分にとって劣等感とは何なのか
  • 劣等感を無視することはできないか
  • 自分の劣等感を誰が気にしているか
  • 自分にとって何が大切なのか
  • 劣等感とは、心の持ちようなのか

 

私自身もたくさんの劣等感を抱えていますが、人に話すと、「え? なんで?」と驚かれたりして、逆に自分でも驚いてしまいます。

自分にとっては大きいものでも、客観的に見ると大したことではないというのが、劣等感です。

すべては「主観」だったのです。

 

他者との比較で「劣等コンプレックス」を抱くとは、つまり、「自分はバカにされている」という思い。

「バカにされている」と思うから、苦しいのですよね。

それも結局は自分の主観であるならば、「うらやましがられている」と決めてしまえばいいことになります。

 

心が萎縮し、行動も小さくなる方向へと解釈するのではなく。

心が大らかに、行動も大らかになる方向へと解釈すればいい。

 

そして、スルースキルを身につけ、なんにも気にしない境地を!

劣等感に悩むたびに、「思い込みにすぎない」ことを、何度も何度も確認してみましょう。

 

【オススメの本】

 

ということで。

 

memo
劣等コンプレックスは、他者との比較と競争。

他者との競争をストップしよう。

他者の期待を満たすために生きてはいけない!

 

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