不安や心配は、どこから生まれるのでしょう?
- 過去を見つめて不安になる
- 未来を見つめて心配になる
つまり。
今を見てないところに、不安がはびこる
明日になったらジャムがあるとか、昨日だったらジャムがあったのにといっても、それは今日のジャムでは絶対ないのだ。
(「鏡の国のアリス」)
Contents
今日のことだけを考える
「今日だけでいい」って。
カーネギー:今日のお皿を洗えばいい
「妻が皿洗いを気にしないのは、一度に一日分の皿を洗えばよいからだ」。
私は自分の悩みの正体をつかんだ。
私は今日の皿も、昨日の皿も、まだ汚れていない皿まで洗おうとしていたのだ。
私は自分の愚行に気がついた。
(「道は開ける」デール・カーネギー)
お皿洗いは、めんどくさいもの。
でも。
一日分のお皿だから、まだ、耐えられるんです。
もしも。
一年分ためてしまったら……?

やる気が出ないのは当たり前
想像しただけでゾッとしますね。
業者に頼みたいくらいです。
重荷になるのは、ためこんでいるから
「明日の重荷に昨日の重荷を加えて、それを今日背負うとしたら、どんな強い人でもつまずいてしまう」
まさに狂気の沙汰ではない。
だからこそ。
一日一日、今日の問題は、今日中に、片づけること。
明日になったら、明日のこと。
それが、日々を楽しむコツですね。
過去は、ゴミ箱へ入れるもの
ある日、机を整理していた時、非常に有効な考えが胸に浮かんだ。
わたしは山のような説教ノートや古いメモを眺めていたが、それを一つ一つ丸めて屑籠に投げ込んだ。
そのうちに、ふと手を止めて、ひとりごとをつぶやいた。
「おいビル、このノートやメモと同じことをお前の悩みについても、したらどうなんだ?
なぜ過去の問題についての悩みをまとめて、屑籠の中へ放り込まないんだ?」
過去についてクヨクヨ考えてしまう人は、「必要以上に」、こう思っています。
- 過去に何か、重大な問題がある
- 自分は、そこから何かを学ばなければならない
だけど、過去なんてゴミだと思えば。
別に、重大なことなんて、何もないんです。
しかも。
「学ばなければ」と思っている人ほど、学べないから。

つまんで捨ててしまおう
もちろん、学ぶのも大事なんですが。
サクッと学んで、サクッと捨てるコツを身につけたほうがいいでしょう。
忘れ去ってしまって、問題ない
過去を建設的なものにする方法は、天下広しといえども、ただ一つしかない。
過去の失敗を冷静に分析して何かの足しにする── あとは忘れ去ることだ。
机の上に書類がたまっていったら。
生産性は、かなり落ちます。
大事にとっておいても、建設的になんて考えられないんです。
私はもう悩んだりしない。胃も痛まず、不眠症とも縁が切れた。
今では昨日の不安を一括して屑籠へ放り込んでいる。
そして、明日汚れる皿を今日のうちに洗おうなどとは決して考えない。
「現在のことを考えよ」って。
アラン:過去は存在しないし、未来もまだ存在しない
「われわれが耐えねばならないのは現在だけである。過去も未来もわれわれを押しつぶすことはできない。
なぜなら、過去はもう実在しないし、未来はまだ存在しないのだから」
それはとにかく、ほんとうである。
過去と未来が存在するのは、ただわれわれがそれらを考える時だけである。
過去も未来も人間の臆見であって、事実ではない。
(「幸福論」アラン)
やはり、過去と未来に、何か重大なものがあると思ってしまうのですよね。
でもそれは、ただの妄想。
妄想という鍋の中で、過去と未来が沸騰するのです。
鍋に使う食材は、「今日」にしましょう。
現在のことを考えよ
自分を苦しめているすべての人に、ぼくは言いたい。現在のことを考えよ、と。
今一刻また一刻と継続している君の生を考えよ、と。
この一分の後には必ずつぎの一分がやってくる。
「今」という時間は、瞬間的に過ぎ去ってしまう。
よく考えれば、一秒後も「未来」のはずですが。
その未来は、またたく間に「過去」になってしまいます。
ということは。
「今」という時間をつかむのは難しい。
難しいからこそ。
「今」に集中したいですね。
難しい何かに、注意を向ける
かなりむずかしいことに、自分の全関心、全注意をそそぎ込んでいる人は、まったくしあわせである。
過去や未来を考えている人間が、完全に幸福になることはありえない。
物の重みを背負っている限りは、幸福でなければ死ぬのである。
しかし不安のうちに自分の重みを背負うやいなや、どんな道も厳しくなる。過去と未来が途中でひどく肩に食い込む。
要するに、自分のことを考えてはならないのだ。
仕事の手が止まるのは、たいてい、自分を見つめすぎているとき。
この話を読んで、「魔女の宅急便」のキキを思い出しました。
スランプにおちいったキキ
キキは、ある日、急に飛べなくなります。
自分自身について、考えすぎたからです。
いわゆる思春期ですね。
そして。
絵描きであるウルスラと話をしながら、元気を取り戻していきます。
(ウルスラ)
「魔法って 呪文を唱えるんじゃないんだ?」
(キキ)
「うん、血で飛ぶんだって」
(ウルスラ)
「魔女の血か、いいね。私そういうの好きよ。魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神さまか誰かがくれた力なんだよね。おかげで苦労もするけどさ」
つまり、自分の力じゃないのです。
才能は、与えられたもの
才能とは、天から与えられたもの。
祖先から授かったもの。
だから、自分を見つめたって、わかりっこない。
キキが飛ぶ力を取り戻したのは、人を助けようと思った瞬間。
その話に、すべてが詰まってる感じがします。

見つめすぎると飛べなくなる
過去を見つめても、無益な反省が生まれるだけ
過去を見つめることから生まれるあの悲しみは何の役にも立たない。
それどころか、きわめて有害なものだ。
なぜなら、それは無益な反省を求め、無益な探求を強いるからである。
なぜ? どうして? と考えたって、何にもわからないですよね。
ある程度、考えたら、あとは「今を考える」のです。
過去ではなく、今の目的を。
アドラー:原因は、過去にはない
自分が非行に走ったり、不登校になったり、リストカットをしたりすれば、親は困る。あわてふためき、胃に穴があくほど深刻に悩む。
子どもはそれを知った上で、問題行動に出ています。
過去の原因(家庭環境) に突き動かされているのではなく、いまの目的(親への復讐) をかなえるために。
(嫌われる勇気)
トラウマに苦しむって、本当に苦しいもの。
忘れたくても、忘れられませんよね。
でも、それでも。
実は、過去で苦しんでるのではなく、今の目的によって苦しんでいる。
つまり。
復讐がしたくて苦しんでいる。
だから、過去を見つめるよりも、今の復讐心を何とかしなければならない。
それが、アドラーの教え。
過去ではなく、未来に向かう目的で生きている
人は過去の原因に突き動かされるのではなく、自らの定めた目的に向かって動いていく。
心の底では、自分でもわかっているといいます。
本当は、過去は問題じゃない。
ただ、今の目的を叶えたいだけだ、と。
許したくないとか、復讐したいとか。
過去を忘れたくない理由があるんですよね。
過去は、まったく関係ない
過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。
過去の出来事は、事実ではなく、ただの自分の解釈。
未来も、予測なんてできません。
過去と未来なんて、何一つ、わからないのに。
ついつい、考えてしまう。
考えればわかるんだと、思い込んでしまっている。
「思い込み」なんです。
「今」にスポットライトを当てれば、周囲は見えなくなる
「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てていたら、過去も未来も見えなくなるでしょう。
過去と未来は見えません。
見なくてもいいのです。

スポットライトを浴びて生きる
3人の意見で、人は変われる
「みんなが言ってる」って、何人が言ってるの?
- みんな、言ってる
- みんな、やってる
さて、「みんなが……」って思うとき、「みんな」って、具体的には何人だと思いますか?
実は。
ある研究によると、「3人」で、「みんな」になるそうです。
3人で「みんな」になる
- 1人だと
- こういう人もいるのか、変わった人だな
- 2人だと
- こういう人、見たことあるな
- 3人目が現れると
- みんな、そうだったのか!
3人で「みんな」になります。
つまり。
頑固な自分を変えたいときは。
3人の人から同じ意見を言ってもらうと、脳に浸透しやすい
「証拠集め」とか、「屁理屈」という意味だけではなく。
自分の脳にインストールしやすくするために、3人からデータをもらうようにしてみる。
これは、けっこう使えるテクニックです。
3人に言われれば、変われる
人は、1人の意見だけでは、うさんくさく感じてしまうから。
- 1人では不安
- たった1人の意見で決めていいの?
- 2人では
- 寄ってたかって洗脳しないで、と思う
- 3人に言われて初めて
- やっぱりそうか! と思える
冷静に考えれば、数十億人いる中でたったの3人……なんですけどね。
いい意味で、脳を説得したいときには、なかなか有効です。
そんなわけで。
みんなが同じことを言ってる!
みんな、「過去は関係ない」と言ってますね。
まとめ
クヨクヨするのは、過去と未来を考えているから。
でも、過去と未来って、どうにもならないですよね。
わかっちゃいるんだけど、なかなかできない。
それでも。
昨日の自分は、もう自分じゃない。
未来の自分も、まだ自分じゃない。
「今」しかないんです。

今日だけ
過去と未来をどうしても考えてしまうなら。
「スポットライトを浴びて生きていきたい」と思ってみましょう。
スポットライトを当てれば、半径1m以上の部分は、ほぼ見えなくなります。
「見ない」のがコツですね。
「これを見ると落ち込んでしまう」という傾向を把握しているなら。
対策は簡単。
「見なければいい」
「見ても落ち込まない自分になる」というのは、とっても高度なワザなので。
「スポットライトを浴びる」という考え方は、とても便利だと思います。
そして。
未来の自分から見たら、今の自分は、過去の自分。
過去の自分を、今、演じているのです。
理想の自分が過去を振り返るとしたら、今、何をしているのか。
そんな気持ちで「今を」生きてみる。
どんな自分でいるか、どう過ごすかは、「理想の自分の過去はどうあってほしいか」を、意識してみるのもいいですね。
ということで。
- 過去と未来ばかりを考えてないだろうか?
- 今にスポットライトを当ててるだろうか?
- 今日のお皿は、洗っただろうか?
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