アドラー心理学【信頼と貢献】人間関係が築けないのは、味方だと思えてないから

『嫌われる勇気』が説く「他者信頼」と「他者貢献」の本質を、「味方かどうか」という視点で整理します。貢献が苦しいのは、相手を味方だと思えていないから。

信頼→味方→貢献→自分を好きになる、この流れを解説します。

嫌われる勇気」とは、実は人間関係を築いていく勇気のこと。

そして、そのためには、相手を信頼し、貢献することであるといいます。

貢献ってなんだろう

貢献って何?

誰かのために頑張ること?

いい人になること?

自分を犠牲にして、相手に尽くすこと?

貢献なんて、無理

貢献は苦しい?

「貢献しなければ」と思うと、どこか苦しい。

苦しいなら、貢献ではなく自己犠牲かもしれません。

でも、『嫌われる勇気』を読んでいると、貢献とはどうやら、自己犠牲とは違うようです。

貢献は、相手を「敵」ではなく「味方」だと思えたときに、自然と出てくるものです。
味方だと思える相手への貢献は、自己犠牲ではなく、嬉しさや充実感につながります。

他者貢献 = 味方に対する give → 充実する

自己犠牲 = 敵に対する give → 消耗する

この区別が、この記事の核になります。

味方って?

味方とは、信頼できる相手のこと

  • 味方とは:安心できる相手・信頼できる相手
  • 敵とは:怖い存在・奪う存在

信頼関係のある相手なら、喜んでもらえると嬉しくなります。

逆に、信頼できない相手なら、恐怖心のせいで消耗しやすくなりますよね。

では、なぜ相手を信頼できなくなるのでしょうか。

それは、信頼するメリットが見えなくなっているからかもしれません。

ここでは、信頼に踏み込むための 3つの考え方 を整理してみます。

  1. まずは「課題の分離」をする
  2. 「深い関係のほうが喜びがある」ことを思い出す
  3. 「無条件のほうがラクである」ことを思い出す

1.まずは「課題の分離」をする

裏切るのか裏切らないのかを決めるのは、あなたではありません。それは他者の課題です。 あなたはただ「わたしがどうするか」だけを考えればいいのです。

嫌われる勇気

裏切られたくない

なぜ信頼できないのか

理由は、たぶんシンプルです。裏切られたくないから。

信じたのに裏切られたら傷つく。
期待したのに大事にされなかったらつらい。
近づいたのに拒絶されたら、もう立ち直れない気がする。

だから、最初から信じない。

人間関係なんて面倒。
浅い関係でいい。
ひとりの方が楽。

そう思ってしまいます。

そこで必要なのが、課題を分離すること

ここで出てくるのが、アドラー心理学の「課題の分離」です。

  • 相手が裏切るかどうかは、相手の課題
  • 相手が自分を好きになるかどうかも、相手の課題
  • 相手が自分をどう評価するかも、相手の課題

相手の課題とは、自分には操作できないこと。

なのに、私たちはここを操作しようとしてしまいます。

嫌われないようにする。傷つかないようにする。相手の顔色を読む。相手の反応を見て、自分の価値を決める。

それをしている限り、自分の人生はずっと相手の反応に支配されてしまいます。

だから、相手の課題と自分の課題を切り分ける。

それをしないと人間関係が怖くなってしまいます。

自分の課題って何だろ


自分の課題は「自分を受け入れること」

ありのままの自分を受け入れ、「自分にできること」と「自分にはできないこと」を見極めることさえできれば、裏切りが他者の課題であることも理解できるし、他者信頼に踏み込むこともむずかしくなくなるでしょう。

嫌われる勇気

相手を信頼する話なのに、なぜ「自己受容」の話になるのでしょうか。

最初は少し不思議でした。でも、考えてみると、これは相手の問題に見えて、自分の問題でもあるのだと思います。

「変えられないものがある」と認めること。

  • 不遇な環境に生まれてしまった
  • 生まれつき持っている性質
  • 親の育て方が悪かった
  • 上司が理不尽だった
  • いつも、イジメられてばかりだった
  • あの人は、私を嫌いに違いない

「こんなの、イヤだ!」「なぜ自分は……」と抵抗し続けることが、自分を苦しめます。

自己受容とは、自分を甘やかすことではありません。

どうにもならないものを、どうにもならないものとして見ること。

変えられないものを、変えられないものとして認めること。

そのうえで、「では、自分は何をするのか」と考えること。

自分の課題とは
  • 自分の課題は、「相手を信じること」。
  • 自分の中の、「信じる力」を受け入れること。

課題の分離

そこまでして人間関係って必要なのかな

2.「深い関係のほうが喜びがある」ことを思い出す

浅い関係であれば、破綻したときの痛みは小さい。しかしその関係から生まれる日々の喜びもまた、小さいはずです。「他者信頼」によってもっと深い関係に踏み込む勇気を持ちえてこそ、対人関係の喜びは増し、人生の喜びも増えていくのです。

嫌われる勇気

人間関係に飛び込めない理由は……

人間関係にメリットがあると思えなくなったから

傷つくだけで、いいことは何もないという気持ち。

けれども、人生に深い喜びをもたらしてくれるものは、他人との「深い関係」しかないと、アドラーは主張します。

  • 浅い関係
    • 痛みは浅い
    • 喜びも浅い
  • 深い関係
    • 信頼が深い
    • 喜びも深い

傷つきたくなくて距離を取っていると、痛みは減ります。でも同時に、喜びも減ってしまいます。

今、日々の生活に喜びや感動が少ないとしたら。

それは「傷ついたから喜びがない」のではなく、「深い関係から離れているから、喜びを感じにくくなっている」のかもしれません。

これは、少し怖い結論です。なぜなら、解決策が「もう一度、人間関係に踏み込むこと」になるからです。

深い関係って何?

3.「無条件の関係のほうがラク」だと思い出す

「相手が裏切らないのなら、わたしも与えましょう」というのは、担保や条件に基づく信用の関係でしかありません。

嫌われる勇気

ここで「深い関係」の正体が見えてきます。それは 「無条件の信頼」に基づく関係 です。

信頼と信用の違い

  • 信頼=深い関係
    • りになる」とじること
    • 客観的根拠は、なくていい
    • 無条件でいい
  • 信用=浅い関係
    • 過去の実績や成果によって、取引すること
    • 根拠付き:○○してくれたら、信じる
    • 条件付き:担保があれば、信じる

↓これは、条件付きの信用

  • 「相手が裏切らなければ」信じる
  • 「私を好きになってくれるなら」貢献する

人間関係に「if」があるのが「浅い関係」

「take があるなら、give するよ」という関係。

「無条件」とは、「if」のない関係

本当に無条件でいいのかな

「根拠がいらない」ことには、メリットがある

信頼に根拠がいらない。

最初は、とても怖い言葉に見えます。

でも、よく考えると、根拠がいらないことには大きなメリットがあります。

それは、

貢献できているかどうかにも、根拠がいらなくなる

ということです。

誰かに感謝されたから、役に立った。
評価されたから、貢献できた。
成果が出たから、自分には価値がある。

そう考えると、自分の価値はずっと他人の反応に左右されます。

でも、もし信頼が無条件なら、貢献感も無条件でいいのではないでしょうか。

相手を味方だと思い、自分にできる働きかけをする。
それだけで、すでに貢献は始まっている。

評価してくれるかどうかは、相手の課題。
感謝してくれるかどうかも、相手の課題。
自分にできるのは、自分にできる働きかけをすること。

ここまで来ると、少し楽になります。

評価を気にしなくていいのは、とてもいい

  • 評価がなくても、貢献していい。
  • 反応がなくても、働きかけていい。
  • 見返りがなくても、自分の価値を感じていい。

他者貢献がもたらすもの

1.貢献する相手は、味方

仲間である他者に対して、なんらかの働きかけをしていくこと。貢献しようとすること。それが「他者貢献」です。

嫌われる勇気

「仲間である他者」=「味方」

誰でもいいわけじゃないんだ

2.貢献する目的は、「自分の価値を実感する」こと

他者貢献とは、「わたし」を捨てて誰かに尽くすことではなく、むしろ「わたし」の価値を実感するためにこそ、なされるものなのです。

嫌われる勇気

「わたし」を捨てなくていい

3.貢献するメリットは、さらなる自己受容

他者に貢献するからこそ、「わたしは誰かの役に立っている」と実感し、ありのままの自分を受け入れることができる。

嫌われる勇気

「役に立っている」と実感できてはじめて、自己受容ができる

最大の幸せは、自分を好きになること

「自分は役に立っている」という思い

人間にとって最大の不幸は、自分を好きになれないことです。この現実に対して、アドラーはきわめてシンプルな回答を用意しました。すなわち、「わたしは共同体にとって有益である」「わたしは誰かの役に立っている」という思いだけが、自らに価値があることを実感させてくれるのだ。

嫌われる勇気

人間にとって最大の不幸は、自分を好きになれないこと

ならば、逆に

人間にとって最大の幸福は、自分を好きになれること

人生のタスクと向き合う理由は、自分を好きになるため

  • 自分は、共同体にとって有益であると感じること
  • 自分は、誰かの役に立っていると感じること

他者に働きかけることなくして、自分を好きになることはできない。

つまり、人生のタスク(=仕事・家庭・友人)と向き合わねばならないということです。

人間関係と向き合うことは、苦しいことではなく、自分を好きになること。

自分を好きになるためなら、やってみたい

まとめ

貢献とは

  • 誰にやる?
    • 「味方」にやる
  • 何をやる?
    • なんらかの働きかけ
  • 何のためにやる?
    • 「わたし」の価値を実感するため
  • 何が実感できる?
    • 自分は役に立つ人間だ
    • 自分は有益な人間だ
  • メリットは何?
    • 自分をさらに受け入れることができる
  • そんな自分をどう思う?
    • こんな自分が好き

これが、「自己受容→課題の分離→他者信頼→他者貢献」の流れ。

人間不信に陥ってしまったときは、まず「今の自分」を受け入れるところからスタート。

相手がどう出るかは相手の課題。

自分の課題は、信頼に踏み込むこと。

ただし、信頼したからといって、相手が必ず味方になるわけではありません。

大切なのは、自分の中で相手を「敵」として見続けないこと。
そして、味方だと思える相手に、自分にできる働きかけをしていくこと。

その貢献が、「自分は役に立てる」「自分はここにいていい」という実感につながります。

その先にあるのは、「こんな自分が好き」と思える状態です。

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