自分の感情をひたすら書くことは、メンタルの安定と、集中力を上げる効果があることが、科学的にも証明されています。
それが、「エクスプレッシブ・ライティング」というもの。
特に、こんな人にオススメ
- ストレスに弱い人
- 感情のコントロールができない人
- 不安が消えない人
そして、「ゼロ秒思考」のメモ書きの方法を合わせると、
- 1日10分でいい。
- 思いついたことを、ひたすら書くだけ。
これだけで、とても大きなストレス解消になります。
ここでは、メモ書きとエクスプレッシブ・ライティングの方法と効果について、まとめます。
ネガティブ感情を、ありのままに書く
今、何を感じてるんだろう?
ネガティブ感情には、7つあります。
まずは、感情のラベリングをしましょう。
7つのネガティブ感情ラベリング(感情の分類)
ストレスに弱い人と、強い人の違い
- ストレスに弱い人
- ネガティブ感情を区別するのが苦手
- ストレスに強い人
- ネガティブ感情を区別するのが得意
つまり。
ストレスに弱い人は、自分がどう感じているかを判断できない人。
ストレスに弱い人は、「悲しみ」や「不安」といった感情を明確に区別せず、「なんだかイヤな感じだなぁ……」といったように、大ざっぱにとらえがちなのです。
確かに、いま自分が悲しいのか不安なのかすらわからなければ、ネガティブな感情にうまく対処するのは難しいでしょう。
(「超ストレス解消法」)
感情を区別する。
これを「ネガティブ感情ラベリング」と呼びます。
具体的にいうと。
ネガティブ感情を、次の7つに区別することです。
悲しみ、不安、怒り、イライラ、恥、嫌悪、罪悪感
感情を、すぐに判断できないから
しばらく時間がたってから。
「あ、私、泣きたかったんだ」と気づくことって、よくありませんか。
「あれ、実は怒ってたんだ?」とか。
私たちは、頭がモヤッとしたとき、何を感じてるかを、とっさに区別するのが苦手なんです。
悲しいはずなのに、「楽しい」と思ったり。
不安なはずなのに、「大丈夫」と思ったり。
無意識のうちに、ネガティブ感情を回避してしまいます。
ポジティブな感情にモヤッとすることはない
- なんか、イヤな感じがする
- なんか、モヤッとする
そう感じたら、ネガティブ発動。
「7つのネガティブ感情」ワードを思い出して、ラベリングしてみましょう。
ポジティブならば、モヤッとはしないはずなので。
- 見てみぬフリをしない
- 否定しない
- 打ち消さない
- ムリにポジティブな感情に変換しない
そのまま・ありのまま、いったん素直に書き出してみる。
【悲しみ、不安、怒り、イライラ、恥、嫌悪、罪悪感】
自動思考を自覚する(思考のアンバランス)
ふと頭の中に浮かんでくる思考。
自動的に浮かぶ、同じパターンの考え。
自動思考の例
- ぜんぶ、私のせいだ
- ぜんぶ、アイツのせいだ
- 私は嫌われている
- 私はダメだ
- ここで失敗したら、人生が終わる
要するに。
極端に悪いほうへと考えてしまうクセのこと。
たとえば。
「私は無視されてる」と考えてしまうとき。
本当は、相手は声が聞こえなかっただけかもしれないのです。
「事実」を見ているのではなく、「思考のクセ」。
それが、「自動思考」です。
視点を変える
自動思考を自覚したら、次は、視点を変えてみること。
- バランス思考への転換
- なぜ、そう思うの?
- 事実を見る
- 本当に、そうなの?
- 自分を疑う
- 逆の視点からみると、どうなの?
- 真逆を見る
- なぜ、そう思うの?
- 他者視点への転換
- 相手の立場から見たら、どうなる?
「○○に違いない」と思ったときは。
自分の考えを信じない。疑う。
考えの「偏(かたよ)り」に、「バランス」を取り戻すのです。
それが、「バランス思考」。
また、他者視点については、デール・カーネギーが、著書「人を動かす」の中で、次のように述べています。
我々がヘビでない唯一の理由は、我々の両親がヘビでなかったからだ。
我々の人となりには、自分が手を下してつくった部分は、ほんのわずかしかない。したがって、我々の接する相手が、どんなにいら立っていたり、偏屈だったり、わからずやだったとしても、その責めをすべて本人に帰するわけにはいかない。気の毒だと思ってやるべきだ。同情してやることだ。そしてこう考えるのだ。
「もし神様のお恵みがなかったら、この相手が、私自身の姿なのだ」
「両親がヘビではないから」とは、面白い表現です。
たしかに、「カエルの子はカエル」と言われるように。
どうしたって家庭環境の影響を受けてしまいます。
自分も。他人も。
だから、いろんな事情があるんだろうな、と。
そう視点を変えられるかどうか。
- 考えの偏りに、バランスを取り戻す
- 相手の視点から見てみる
- 視点を変えると、愉快になれる
まとめると。
- 今、何を感じてるの?
- 悲しみ、不安、怒り、イライラ、恥、嫌悪、罪悪感
- なぜ、そう感じてるの?
- それについて、どう考える?
- なぜ、そう考えるの?
- 本当に、そうなの?
- 逆の視点で見ると、どうなる?
- 相手の立場から見ると、どうなる?
- 今は、どう感じてる?
不安は、「最悪の事態」を受け入れることで消えていきます。
起こりうる「最悪の事態」を受け入れる
不安は、受け入れることでしか消えない
不安になったら、考えよう。
- 起こりうる最悪の事態は、何?
- いざとなったら受け入れる覚悟をする
- 最悪の事態が起きたら、どう好転させようか?
最悪の事態を先に考え、受け入れる覚悟をしてしまうことです。
そして、いざ起きたら、どうするかを考える。
「起きたらどうしよう」「イヤだなぁ」と、モヤモヤと不安に思っているだけでは、ストレスは大きくなる一方。
受け入れることでしか、前には進めないんですね。
数え切れないほどの人々が怒りと混乱のために自分の人生を台なしにしてしまったが、もとはといえば最悪の事態を受け入れようとしなかったからである。事態を改善しようとせず、破滅に瀕しても、できる範囲内での救出作業すらしなかったのだ。運命を建て直そうとせずに、「経験と悪戦苦闘」したあげく、最後にはうつ病という心のしこりの犠牲者となってしまったのである。
(デール・カーネギー著「道は開ける」より)
最悪の事態を書いてみましょう。
覚悟さえできれば、心は落ち着いてきます。
ダメ。必ず手書き。それも、ノートではなくA4用紙。それがゼロ秒思考のやり方です。
ゼロ秒思考の効果
手書き効果:パソコン入力の1万倍
手書きには脳を活性化させる効果があることが、脳科学でも明らかになっています。
手書きのスゴさは、指の動かし方。
その数値が驚きです。
- パソコン : 8種類
- 手書き : 1万種類
つまり。
手書きだと、1万種類の脳を動かすことになるのです。
パソコン入力の約1万倍
それだけの脳を動かすからこそ、頭がスッキリするんですね。
ノートではなく、A4用紙がいい
なお、ノートだと切り離すことができないため、考えを整理するには向かないそうです。
1枚1枚バラバラにできる、A4用紙が厳守。
ゆっくり書きたい。
ダメ。必ず「1分で」書いてください。
1枚1分の効果:最初の1分に本音が詰まってる
1分で書くコツ
- 頭に浮かぶことを次々に書く
- 何も考えずに書く
- 言葉を選ばずに書く
脳には、「一番気になったことが真っ先に頭に浮かぶ」という習性がある
だから。
パッと書いたものは、必ず優先順位が高い
そんなわけで。
1枚1分で、パッと書くことを推奨されています。
科学的にも、「エクスプレッシブ・ライティング」と呼ばれていて、証明されています。
科学的にも証明:エクスプレッシブ・ライティング効果
ネガティブな経験を、包み隠さず書く
1980年代に生まれた、認知行動療法の一つ。
ネガティブな経験について、包み隠さず書き記すこと
たとえば。
「超ストレス解消法」では、こんなことまで書いていいと、あります。
- あの新人は会社の電話を取ろうともしない! 本当に腹が立つ!
- パソコンを開いたら自動更新が始まった! 作業ができなくてイライラする!
- 悩んでるはずなのに、何に悩んでるのか分からない。でもとにかく泣きそう
書くだけで、ストレス解消できるので、誰かに八つ当たりしなくてすみますね。
あなたがイライラしたりネガティブな気持ちになった出来事であれば、どんな小さなことでもOK。どうせ誰も見ないのだから、安心してストレスを吐き出しましょう。
(「超ストレス解消法」)
ネガティブな経験を書いたほうが、うつが改善する
「エクスプレッシブ・ライティング」の生みの親であるジェームズ・ペネベーカー博士は、次のように述べています。
数々の研究により、『エクスプレッシブ・ライティング』を行った被験者は幸福感が高まり、ネガティブな感情が減った。さらには、『エクスプレッシブ・ライティング』を始めてから数週間から数ヵ月でうつや不安が改善し、ストレスがおだやかになる傾向も見られた
その後、ミシガン大学でも同様の研究結果が出ているそうです。
世界的にも実証されている方法なので、安心して取り組みましょう。
ただし。
ネガティブな経験を書いた後は、必ず、視点を変えることを忘れずに。
- バランス思考への転換
- なぜ、そう思うの?
- 事実はどう?
- 本当に、そうなの?
- 自分を疑う
- 逆の視点からみると、どうなの?
- 真逆を見る
- なぜ、そう思うの?
- 他者視点への転換
- 相手の立場から見たら、どうなる?
視点を変えないと、「思考の修正」ができないからです。
[本当のストレス解消とは]受容と思考のバランスをとること
「受容」と「思考」のクセを直す
ストレスの原因は次の2つ。
- 受容のアンバランス
- 受け入れられない
- 思考のアンバランス
- 思い込みに満ちている
だから。
ストレス解消法は、次の2つ。
- 受容のバランスをとる
- ありのままを受け入れる
- 今の状況、今の自分を受け入れる
- 思考のバランスをとる
- 考え方の偏りを修正する
- 思い込みをはずす
猫背を治すように、受容と思考のクセを治す
「超ストレス解消法」に、次のようにあります。
長年の習慣で身についた「脳の癖」のようなものです。猫背を治すには意識して姿勢を変え続けなければならないのと同じで、「思考のアンバランス」も根気よく修正していく必要があります。
やや長い道のりにはなりますが、それだけに成功した時の効果は絶大。
- なぜ悩んでしまうのか?
- 長年の習慣による「脳のクセ」
- クセだから、なおせる
- やや長い道のり
- 意識して、変え続けなければならない
猫背をなおすようなもの。
あるいは。
左利きの人が、右利きに変える練習をするようなもの。
ちょっと根気がいることは、覚悟しなければなりません。
それでも。
ただの「クセ」だから、絶対になおせる。
逆に言えば。
ストレス発散することには意味がない、という証拠でもあります。
猫背の人がストレス発散したところで、背筋が伸びるわけではないですよね。
「楽しいことを考える」のもいいけれども。
「クセをなおそう」という意識と、練習を続ける必要はあるんです。
ストレス回避は意味がない
ストレスを感じたとき、たいてい、次の2つの行動をとると思います。
- きっかけとなった出来事をつぶす
- 相手に怒る、泣いて訴えるなど
- モグラたたきのようなもの
- 忘れるために、ストレス発散をする
- 一時的には楽しい
- もちろん、娯楽としては必要
まさに「モグラたたき」ですから。
やってもやっても終わりません。
根本のクセをなおす必要があるんです。
娯楽としてのストレス発散も、人生をいろどるには必要ですが。
でもそれは、「クセを直す」ことではないですよね。
まとめ
頭がモヤモヤするとき。
自覚はなくても、頭はネガティブ感情でうめつくされています。
なぜなら。
ポジティブならば、モヤッとはしないから。
モヤモヤして言葉にならないのなら。
ネガティブを見ないようにしてきた結果なのです。
だから、ネガティブ感情を、ハッキリと見てみること。
怖がらなくても、書いてしまえば消えていきます。
7つのネガティブワードを覚えておいて、区分してみましょう。
悲しみ、不安、怒り、イライラ、恥、嫌悪、罪悪感
ネガティブ感情を見たら、「自分の思い込み」を自覚して、視点を変えてみること。
- バランス思考への転換
- なぜ、そう思うの?
- 事実はどう?
- 本当に、そうなの?
- 自分を疑う
- 逆の視点からみると、どうなの?
- 真逆を見る
- なぜ、そう思うの?
- 他者視点への転換
- 相手の立場から見たら、どうなる?
どうしても消えない不安は、「最悪の事態」を受け入れる覚悟をすることで消えていきます。
- 起こりうる最悪の事態は、何?
- いざとなったら受け入れる覚悟をしよう
- 最悪の事態が起きたら、どう好転させようか?
ここまで、できたら。
日々の振り返りは、3つの手順で。
- 今の問題は、何?
- なぜ、そうなの?
- じゃあ、どうする?
- どうしたい?
- どうやる?
- いつから、やる?
一度やればいいのではなく、毎日毎日繰り返すことで、数か月もすると、次の2つがうまくできるようになっていきます。
- 自分を受け入れる(受容)
- 思い込みをはずす(思考)
これができたら、今よりもっと、自由になります。
ネガティブ感情の扱い方が上手になるので、振り回されなくなる。
なにごとも、書いてみるのが一番ですね。
ぜひ、試してみてください。
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