脳を刺激すると、読まれる文章になる
脳に与える「6つの刺激」を活用する
脳に刺激を与えるために効果的なのは……
- ネガティブな感情からポジティブな感情へ
- 「6つの刺激」でボトムアップをねらう
- 「U字曲線」を描く
最初に、原始脳(=無意識)を刺激する。
次に、理性脳に訴える。
6つの刺激で、無意識から意識へと上げるのがボトムアップです。
文章の流れはU字曲線だ
原始脳・理性脳については、こちらから。
ここでは、「脳に与えるべき6つの刺激」と、文章の「U字曲線」についてまとめます。
「売れる脳科学」より
by クリストフ・モリン、パトリック・ランヴォワゼ
脳に「6つの刺激」を与えると、読まれる文章になる
脳に与えるべき刺激は6つ
1.視覚的な刺激~まずは目に訴えよう
- 脳内で画像を処理する時間は、わずか0.013秒
- 他の感覚器官よりも、優位に働く
- 目に訴えると、メッセージが最も速く伝わる
やはり目で見たことが一番、刺激を受けるし、記憶にも残りますよね。
まずは視覚で訴えたほうがいい。
画像や動画などを活用するのは、そのためです。
なお、イラストよりも写真のほうが注意を引きやすいと言われています。
ただし、情報が多すぎると混乱するため、シンプルにすることもポイントです。
色も多く使いすぎないことです。
対象物と背景のコントラストを明確にするなどして、特徴を目立たせると効果が高まります。
また、アイコンや図を並べる場合は、3つまでがいいようです。
2.個人に関わる刺激~「私のことだ!」と思わせよう
- 人は基本的に利己的
- 自分に関係のないことには興味がない
- ターゲットを中心にしたメッセージにすること
何よりもまず、相手を中心に考えることです。
では、相手を中心に考えるとは、何を考えればいいのでしょうか。
原始脳(人間の最も古い脳)には、自分の命を守ろうとする特性があります。
だから、脅威、リスク、落とし穴を解決できることを強調すると注意を引きやすいです。
ただし、解決策を提供する前に、相手に痛みを思い起こさせる必要があります。
最初のメッセージで、「そういえば、こういうことで悩んでいた!」と思い起こさせるように書くことですね。
よく見かける、「こんなことでお悩みの方はいませんか」という見出しも、相手に悩みを思い起こさせているわけです。
「私はこう!」ではなく、「あなたは、こうではありませんか?」という切り口です。
Youメッセージで書くことがポイントになります。
3.記憶に残る刺激~「冒頭」と「締めくくり」を強くしよう
- 感情に訴える力強い「冒頭」から始める
- 感情に訴える力強い「締めくくり」で終える
- 「冒頭」と「締めくくり」は中間部分よりも重要(U字曲線)
メッセージの冒頭と締めくくりは、印象を強める絶好のチャンスです。
なぜなら、人は誰しも、最初と最後しか覚えていないから。
本を読むときも、「はじめに」と「おわりに」はしっかり読んだほうがいいと言われます。
出版社も、最初と最後が大事だということを心得ているため、特に熱を込めて書いているのです。
4.具体的な刺激~比喩と例え話を使って具体的にしよう
- 脳は、努力したくない
- 抽象的なものは難しくて嫌い
- 比喩や例え話で、具体的にする
- 具体的な証拠を出す
- なじみのある言葉、パターン、状況を利用する
やはり、簡単に書かれた文章のほうが、読みやすくていいですよね。
そのためには「具体化」を意識することです。
比喩や例え話、具体的なデータ(証拠)を出すと、とてもわかりやすくなります。
脳は、具体的でわかりやすいことが大好きなのです。
また、よく知っている単語で表現することも大事です。
子どもと話すときには、子どもの言葉を使うように、相手の状況に合わせた言葉を選ばないと、見向きされません。
5.対比できる刺激~AとBは何が違うのか?比較を示そう
- 自社と他社を比較する
- ビフォーとアフターを比較する
- 脳は、比較でしか考えられない
人は、対象そのものからは喜びをほとんど見出せず、対比によってのみ強い喜びを得るように作られている。(精神科医・フロイト)
物の価値とは、比較によって生まれます。
高い商品があるから、安い商品を「安い!」と感じる。
いいものがあるから、悪いものを「悪い!」と感じる。
比較対象がなければ判断できないのです。
だから、常に人と比べたがるわけです。それが脳の仕組みです。
だから、選択をしやすくしてあげるためには、わかりやすい比較を提示することが有効なのです。
ただし、選択肢が多すぎでも混乱の元。
2つ、または3つの比較がベストです。
6.感情的な刺激~最初はネガティブ・最後はポジティブを引き起こそう
- メッセージの冒頭でネガティブ(後悔)を引き起こす
- メッセージの最後でポジティブ(期待)を引き起こす
- 「後悔への恐怖」→「未来への期待」の順が効果的
意思決定に影響を及ぼす感情として、最も大きいのは「後悔への恐怖」だと言われています。
「後悔するかもしれない!」と焦りを感じたとき、人は行動しやすくなりますよね。
「後悔」をうまく刺激してあげると、説得力が増します。
ただし、ネガティブな感情を刺激するのは、一瞬にとどめなければなりません。
ずっとネガティブな感情が続くと、気分が悪くなって読まれなくなってしまいます。
最初に「痛み(後悔)」を引き起こさせ、その痛みの「解決策」を示し、「期待」で終わらせる。
これが、もっとも効果的な書き方です。
最後は必ず、ポジティブ・メッセージで終わらせることが大事ですね。
- 痛み(特に後悔)を思い起こさせる
- 解決策を示す
- 未来への期待を示す(ポジティブに終わる)
まとめ:6つの刺激でU字曲線を描こう
6つの刺激を順番に使っていくと、ボトムアップ効果がねらえます。
なお、「記憶の刺激」と「感情的な刺激」は、初頭効果(冒頭)と終末効果(結末)にわかれます。
文章のU字曲線
- 視覚~パッと目で引き寄せる
- 個人~「あなたのことですよ」と訴える
- 初頭効果~ネガティブな冒頭
- 具体的~注意をひいたら、比喩や例え話で具体的に
- 対比~わかりやすく比較もする
- 終末効果~ポジティブな結末
1~6の順は、原始脳(無意識)→理性脳(理性)という順です。
最初に視覚で訴え、「あなたのことだ」と注意をひくことで、無意識に響く。
ネガティブな感情を引き出すことがポイント。
中間は、具体的な例え話・比較で、理性に訴える。
わかりやすく、ゆるくていい。
最後はまた感情に訴える。
この順序は、プレゼンテーションのときにも効果を発揮します。
文章を書くときも、人の前で発表をするときも、この順序を覚えておくと、人を惹きつけることができそうですね。
ということで。
順序は、視覚・個人・初頭効果・具体的・対比・終末効果
ボトムアップ効果とU字曲線で!
20191026