他者(他社)と比べてこそ、自分が見える。他者(他社)との違いが、自分の強み。比べないと何もわからないのです。
「新人OL、つぶれかけの会社をまかされる」 by 佐藤 義典
タイトルどおり、つぶれかけの会社を、新人OLが立て直すというストーリー。
マーケティングのなんたるかを何も知らない人、難しい本を読みたくない人にはおススメの、マーケティングの入門書です。
マーケティングとはこういうことか!ということを、楽しく気軽に学べます。
私は、この本を読んで、マーケティングのイメージがガラッと変わりました。まさに、目からウロコといった感覚です。
今までは、「マーケティングとは、人の心理を利用した悪どいもの」と思っていたのです。
それは、まったくの勘違いでした。
むしろ、楽しくて幸せなもの。とてもワクワクするものだと感じ、もっと早く勉強していれば良かったと思ったほど。
ここでは、この本の中で特に印象に残った3点をまとめます。
強み・差別化~強みとは、「競合との価値の差」である。
一番、衝撃を受けたのが次の一文です。
競合が誰かによって、強みが変わるのです。強みは「競合との差」ですから、「誰と比べてなのか」という、「競合は誰か」を確認する作業が絶対に必要です。
この意味で、「誰と比べて?」を明確にせずに強み弱みの分析を行うことは無意味、かつ誤解を招くので、有害ですらあります。
強みとは、「競合との差」。
仕事として考えたときには、それが成功の法則だということは納得できるし、これまでも知識としてはわかっていました。
ただし、自分に置き換えてみると…。
まったくもって、そのような視点がなかったことに気づかされました。
他人と違うことにコンプレックスを感じ、他人と同じであろうとし、自分の強みが何なのかもわからない。
自己分析やら、強み発見やら、世間にはいろいろな方法がありますが、そもそも、前提条件をわかっていなかった!
「強み」とは、他人との違いにあるという事実。
他人との違いにコンプレックスを抱いていては、せっかくの「強み」も宝の持ち腐れなのです。
「比べる」からこそ、分析が可能になる。
とても衝撃を受けました。
今までは、必死になって、「人と比べちゃいけない」と言い聞かせてきたのです。
「他人と比べる必要はない」というのは、他人と比べて落ち込むことに意味がないということであって、「絶対に比べない」ということではなかったのです。
むしろ、積極的に比べないと自分が見えなくなる。
目からウロコが落ちるとはこういうことかと思うほどの感覚を味わいました。
「他人と比べちゃいけない」という観念こそが、自分を見失わせる要因となっていたのですね。
なんという愚かなことをしていたのだろうと思います。
- Aさんと比べて、自分は△△だ。
- B社と比べて、我が社は△△だ。
△△の部分を、欠点ではなく、強みととらえる。
それが、他人と比べるうえで重要なことです。そこをふまえ、今後は積極的に比べていこうと思いました。
ターゲティング
誰に、どのように役立ちたいのか?
これまでも必死に考えては、なかなか見えずにいたことでしたが、「机上の理論だけでは絶対に見えてこない」との、この本のストーリーにハッとさせられました。
現場に出向き、お客様のニーズを肌で感じること。お客様の声を聞くこと。本場の味を求めて出かけること。
つまり、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の足で歩くということです。
そういうことを怠っていては、何も見えてこないのは当たり前。
自分の六感を駆使しながら、肌感覚を知る努力をしようと思いました。
気になったことは、きちんと調べる。自分で歩いてつかむ。心が揺さぶられる場所には出向いていく。
基本的なことですが、なかなかできていないことを痛感します。
「わからない」と嘆いているとき、自分では何もせずに、頭の中だけで考えているだけではないか?
そこを常に意識していきたいと思いました。
具体化をしないと、ニーズがふわふわとしたあいまいなものになり、誰にも刺さらない商品、広告メッセージなどになってしまう。
ターゲットをしぼってこそ、売れる商品を生み出せる。
万人に売ろうとすると、結局は誰にも売れないそうです。
万人受けしようとすると、結局は誰にも好きになってもらえない、人間関係の基本にも通じる話です。
八方美人はきらわれるということですね。
誰に何を届けたいのか? 万人受けではなく、対象者をしぼってピンポイントでねらうこと。
それがマーケティングです。
人の生き方と同じだなと感じました。
勝負を決めるのは、想いの強さ
何ごとにおいてもそうですが、最終的に問題になるのは自分の「想い」。
勝とうと思わなければ、勝てないということです。
マーケティングやビジネスの成功例として、一番有名なのは、やはりディズニーランドでしょうね。
ディズニーランドの成功については過去いろいろな書籍などで分析されていますが、真の凄みは「夢と魔法の国」という「想い」を「一貫性と具体性」をもって徹底的に、徹底的に、徹底的に実行していることだと考えています。
それが「どこまでやるか」という執念、「想いの強さ」であり、これこそがここから学ぶべきものだと思います。会社の強さ、というのは、最終的にはこのような「想いの強さ」で決まります。
そこまでの、一貫した想いがあるのかどうか?
自分は、世の中にどのように貢献しようと想っているのか? 何を成し遂げたいのか?
それだけは、どんなに技術や方法を学んでも、他人からは与えてもらえない部分です。自分で見つけるしかありません。
その想いが、なかなか出てこないからこそ苦労します。
「想い」とは相手の心。
相手の立場を思いやる、相手のニーズを想像する。
日々の生活のなかでも実践してみると、何かが見え始めるのかもしれません。
「想い」を見つけ、深めていきたい。
まとめ
他人と比べなければ、自分の価値はわからない。自分の強みは見えない。
それが、自分にとっては大きな気づきとなり、自分の壁をこわすキザシを感じ始めました。
例えばですが、この世の中で、食べ物が「リンゴ」しかないとしたら?
きっと、「リンゴ」という言葉は生まれていなかったでしょう。
わざわざ言葉にしなくても、「お腹がすいた」「食べよう」と言えば伝わります。リンゴしかないからです。
だけど、「リンゴ」だけではなく、「ミカン」もあれば、「桃」もある。
比較対象があるからこそ、ほかにはない、「リンゴ」だけの良さというものが光るわけです。
赤くて、甘くて、サクッとした歯ごたえで、アゴも鍛えられる。
比べるものがなければ、個々の特性を説明することができません。
同じように、自分自身も、また、自分が売りたい商品も、他者(他社)と比べてこそ輝く。独自性という「強み」が生まれる。
マーケティングを学ぶことで、自己発見能力も高まるのではないかという期待が出てきました。
比べるからこそわかる、自分の価値。商品の価値。
それが、マーケティングを学ぶ醍醐味ではないかというのが、この本をとおして学んだことです。
勝ちたいなら積極的に比べよう!と思いました。
ということで。
もっと積極的に、他者と比べよう!
それぞマーケティング。
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