人間関係で行き詰まったとき、「観察しなさい」とアドバイスされました。
他人の言動は、振り回されるものではなく。
自分の研究対象にしてしまえばいいのです。
イライラしたままだと、自分のメンタルに悪影響なだけですが。
観察対象にしてしまえば、自分の知性が高まるというメリットに変わる。
すると、昇進できるという、思わぬメリットもあるかもしれません。
Contents
「観察」から「知性」は生まれる
命を守るためには、他の人間の行動を観察しなければならない
古代の生活では、人間の観察力は鋭かったはずだと、エーリッヒ・フロムは言っています。
観察し、そこから学習するということを、原始人はいやおうなく強いられている。
天気や動物の行動や他の人間の行動を観察しなければならない。
(「よりよく生きるということ」by エーリッヒ・フロム)
大自然の中では、いつどこから敵が襲ってくるか、見張っていなければならない。
だから常に観察しているわけです。
現代人は、観察をしなさすぎ
古代に比べ、現代の生活はとても便利。
自分で観察する必要もなければ、考える必要もありません。
提示された情報を、ただ暗記するだけ。
自分自身の観察や思考によって知るべきことを、実際には何も知らない。モノを使うのに、思考や技能がさほど必要とされないのである。(同上)
本来なら、自分の観察力・思考力を使って、知るべきなのです。
そうしなければ、生き残る力は、つかないのです。
執拗な観察が、生き抜く力になる
「生き方はニーチェに聴け!」という著書で、白取春彦さんは、次のように述べています。
知性というのは、執拗な観察や試行錯誤によって、ある事象から何事かを引き出して生活に役立てること
つまり、知性があるということは、自分の能力を使ってこの世界を生き抜く力を持っているということを意味しているのだ。
- 「執拗な観察」と「試行錯誤」を繰り返す人
- ある出来事から、生活に役立つ学びを得る人
- 自分の能力を使って、この世界を生き抜く力を持っている人
「執拗な観察」と「試行錯誤」を繰り返す
これが、知識を知性に変えるために必要なこと。
仕事面での観察力のメリットは、具体的には、プレーヤーからの卒業がうまくいくことです。
マネージャーになれる人は観察力の優れた人
プレーヤーから卒業する
「優れたプレーヤーは優れたコーチになれない」と、よく言いますよね。
もともと能力のある人は、他の人がなぜできないのかがわからないため、うまく教えることができないからです。
部下育成の方法がわからない
会社組織の中でも、プレーヤーからマネージャーへの転換には苦労します。
そもそも管理職になりたくないという人も大勢いるほど。
どうやって部下育成をすればいいのか、誰もわからないのです。
マネージャーへの転換がうまくいくかどうかのカギとは
プレーヤーからマネージャーへの転換がスムーズにいく人もいて、そういう人には共通点があるそうです。
以下、ちょっと長いですが、「世界基準の上司」(赤羽雄二著)より、抜粋します。
スムーズに行ける人は、「プレーヤー一人ひとりが何をすべきか、できる人はなぜできて、できない人はどこがひっかかってできないのか、部門の全体像がどうあるべきか」を、常に考えている。自分が成果を出しつつ、周囲の状況も決して無視したりはしないし、仲間を助けてあげたりもする。周囲からも何かと相談を持ちかけられる。
たいへん苦労する人は、プレーヤー時代に自分の成果達成のことしか考えておらず、周囲の人が何をしているのか、なぜ困っているのかあまり考えていない。できない人は「なぜできないのか、どういうところでひっかかっているか」をあまり考えたことがないので、いざマネジャーになってもあまりよくわからない。部門が全体としてはどちらの方向に進んでいるのか、それもそれほど関心を持っていなかったので、あまりよく把握できていない。
こんな人が、マネージャーになれる人
- 常に観察している
- できる人は、なぜできるのか?
- できない人は、なぜできないのか?
- 全体像は、どうあるべきなのか?
- 周囲の状況を無視しない
- 仲間を助ける
- 相談を持ちかけられる
こんな人は、マネージャーになるのに苦労する
- 自分の成果しか考えてない
- 周囲が何しているか、なぜ困っているかを考えていない
- できない人の気持ちがわからない
- 全体が、何を目指しているのかも、わからない
要するに、大事なことは……
周囲をじっくりと観察する
観察ならば、今すぐできます。
楽しく観察をしよう
アナザープラネット:人は人、自分は自分
英語では「アナザープラネット」という表現をするそうです。
「あの人は、別の惑星に住んでいる」という意味ですが、必ずしも相手を軽視する表現ではないのだとか。
「あの人と自分は考え方が違う」という意味であって、お互いを尊重する考え方のようです。
日本では、「人は人、自分は自分」と言うと、なぜか冷たいイメージがありますよね。
その理由は、「同調圧力」のせいでしょう。
自分も他人も世間も同じでなければならないと、皆が皆、思っています。
「人は人、自分は自分」というのは、「嫌われる勇気」で説く「課題の分離」という考え方になります。

とにかく。
いい人も悪い人も、すべて観察対象にしてしまえば、イライラすることが減っていきます。
おまけに、全体がよく見えるようになるため、昇進もしやすくなる。
まとめ
「観察」は、生き延びるための知恵。
- 執拗な観察と試行錯誤を繰り返す人
- ある出来事から学びを得て、生活に役立てる人
- 自分の能力を使ってこの世界を生き抜く力を持っている人
プレーヤーからマネージャーへの転換が難しい理由は、周囲を観察していなかったから。
自分の成果だけに集中すると、全体が見えなくなる。
だから、どんなときも観察をしよう。
人間関係を築くには、観察力から。
ということで。
人間関係も楽しく。
観察も楽しく。
とにかく楽しくやろう。
参考図書
課題の分離は、観察力から。

即断即決に必要な力の一つは、「観察力」。

人間関係とは「昆虫観察」だという話も。

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