なぜ、やる気がでないのでしょうか?
それは。
もちろん、過度の承認欲求も体に悪いのですが。
でもやっぱり。
褒めてもらえたり、認めてもらえたりしないと、元気は出ないもの。
- 自分の存在・努力を認めてもらえたとき
- 自分のことをちゃんと見てもらえて、励まされたとき
だから。
- 褒めてもらう・認めてもらう
- 褒めてあげる・認めてあげる
これが大事です。
そのための、ポジティブ・フィードバック。
これからのリーダーシップに必要なスキル。
人は、認められないと元気になれない
集団欲求・所属欲求は本能
人間には、集団欲求・所属欲求が本来そなわっています。
だから私たちは、孤独では生きていけません。
ただし。
ただ、集団に所属していればいいのでもない。
集団のなかで「貢献感」を持てるかどうか
アドラー心理学では、「共同体感覚」を持つことが重要だといわれています。
共同体感覚とは、集団のなかで「貢献感」を持てること。
つまり。
自分が大切にしている集団の中で、認める・認められるという雰囲気がある。
それこそが、幸せに過ごしていくコツ。
集団といっても、規模の大小は関係ありません。
2人でも、集団です。
人と人との関係には、褒める・褒められる、認める・認められるという空気感が必要なんですね。
それが、フィードバックです。
フィードバックとは?
- 行動の軌道修正や動機付けのために行なわれる、教育や指摘、あるいは評価のこと
- フィードバックの内容は、受ける側にとって「糧になるべきもの」にするという意識が大切
集団のなかで、こう感じませんか。
- 自分の課題を明確にしてほしい
- 課題に対して、どう行動したらいいか教えてほしい
- 良い、悪いをはっきり伝えてほしい
- 自分は良くなっているのかどうか、知りたい
- やる気を持たせてほしい
- 自信を持たせてほしい
誰もが、自分は何をどうしたらいいのか、次にどんな行動をしたらいいのか、自信がないんです。
自分の何がよくて・何が悪いのか、客観的にはわからない。
「誰かに教えてもらいたい」と、心では願っている。
だからこそ。
良質なフィードバックは喜ばれるものなんです。
欠点を指摘したり、反省させたりするやつでしょ?
本当のフィードバックは、ポジティブなものです。
ポジティブ・フィードバック
- 褒める
- 感謝する
- ネガティブに言わない
フィードバックをポジティブにする
具体的には。
- 遠慮なく、躊躇せず褒める
- ちょっとしたことを感謝する
これは会社でも家庭でも、同じこと。
欠点の指摘や反省では成長しない
「指摘をして、間違いを正す」というのは、ネガティブなフィードバック。
悪く言えば。
ただの「ダメ出し」
ネガティブなフィードバックをすると、気持ちもネガティブになります。
つまり。
- ネガティブは、ネガティブを生み出し、
- ポジティブは、ポジティブを生み出す
単純な構造ですね。
ネガティブな発言をする人は、相手のせいで悩んでいるのではありません。
実は。
「自分のネガティブな発言」のせいで、ブーメランのように問題が自分に戻ってきているだけ。
- ネガティブなフィードバックをすると、相手はもちろんのこと、自分もやる気がなくなる
- やる気を出したいなら、フィードバックをポジティブにすること
ポジティブフィードバックの方法
「ちょっとしたこと」を口に出す習慣をつける
特に、その場ですぐに言ったほうがいい。
お互いに、とってもいい気分になれるんだから、やらない理由はないはずなんです。
どんなことでも、遠慮せず。
躊躇(ちゅうちょ)せず。
パッと言う。
それが、ポジティブ・フィードバック。
- どんな小さなことも、大きくほめる
- 努力に対して感謝する
- 問題の指摘、改善内容は後で。
- 悪い結果には、「こうすればいいよ」と励ます
- ミスさせて申し訳ないという姿勢
「照れくさい」は、なかなか大きな壁。ただし、言い訳にすぎません。
ポジティブ・フィードバックをしない理由(言い訳)
なぜポジティブ・フィードバックができないのでしょう?
いろいろ理由はありますが。
ほとんどは、言い訳にすぎません。
言い訳1.褒められて育ってない
日本では、家でも学校でも会社でも。
何かあるとすぐに、叱責と罵倒をする風潮がある。
褒めてもらったことが一度もないという人も多いです。
自分がしてもらってないことを、他人にすることは難しいですよね。
責められて育った人が、自分も責める人になってしまうのは、ある意味では仕方ないともいえます。
そういうやり方しか、知らないから。
対策1:まず自分が褒めてもらう
やはり、自分が満たされた分しか、他人を満たせないというのも真実。
だから、まず自分がしてもらうというのは大事です。
しかも。
自分がポジティブ・フィードバックを「してもらおう」と考えたら、行動が能動的になるというメリットもあります。
何をすれば、褒めてもらえたり、感謝されたりするのか? と、考えるようになるからです。
これは、とても効果があります。
対策2:自分を認めてくれる環境に身を置く
「ツライ環境でも頑張る」
というのは、やはり。
苦行でしかありません。
心は枯れてしまうもの。
励まされないと、人は頑張れないから。
あまりにもツラい場合は、今の環境を離れ、認めてくれる場を求めましょう。
- 褒められたことがない人は、他人を褒められない。
- 認められたことがない人は、他人を認められない。
- まずは自分が、褒められたり認められたり、してみよう。
- 褒めてくれる人と付き合ってみるのが一番いい。
言い訳2.「大したことじゃない」と思っている
海外の人って、リアクションが大きいですよね。
感謝や愛情を、言葉や態度できちんと伝える文化がある。
日本は、言葉も態度も、薄すぎる。
「無口」が奥ゆかしいと思っていたり。
「察する」文化があったり。
でも、やっぱり。
言われる側には、「大したこと」です。
「これって喜ばれることだったんだ?」と、驚くこともありますよね。
対策:小さなことでも伝える意識を持つ
「大したことじゃない」という気持ちを捨てること。
言わなきゃ伝わらないし。
明るい気持ちにもなれないし。
どんなに小さなことであっても。
自分がされる側になったら、うれしいはず。
「口に」出してみましょう。
- 「大したことじゃない」「こんな小さなこと」という意識を捨てる。
- どんなに小さなことでも、大きく考えよう。
言い訳3.「谷底に突き落とさなければ」と思っている
「良薬口に苦し」という考え方が根強いですね。
「獅子は、突き落として育てるもの」
「まずは水に放り込む」
とにかく、厳しい訓練のほうがいいと、本気で思っています。
なぜなら。
誰もが、このように思っているから。
- 褒めると、調子に乗りそう
- 褒めてばかりでは成長しない
- 甘やかしてもいいことない
けれども。
そのやり方でやられて、どうだったでしょう?
結局のところ、自己肯定感の低い人ばかり、増えていませんか。
- 自信がない
- 自己肯定感が低い
日本で自信のない人が多いのは、「谷底に突き落とすやり方」の結果だという指摘もあります。
なかには、厳しく訓練されたおかげで成長できたという人もいますが。
そういう人は、たまたま。
ごく一部の強い人だけ。
ほとんどの人は、そうじゃないのです。
対策:「良薬は口にいいもの」という意識に変える
やり方を変えなければなりません。
もっと丁寧に。
もっと親切に。
特に、こんなセリフは絶対にNG。
- 「もう少しマシな努力ができたはず」
- 「この野郎。地獄に堕ちろ」
短気を起こしたり、嫌味を言ったりしたら。
相手は、二度と心を開いてくれなくなります。
- 褒めすぎると図に乗るなんて、考えない
- 「良薬は口にいい」と考える
- 丁寧に、親切に、話していく
言い訳4.慣れてない
自分がしてもらったこともないし。
大したことじゃないと思っているし。
とにかく、慣れてないですよね。
慣れてないから、できないだけ。
能力の問題ではなく、習慣の問題です。
対策:習慣を変える勇気を持つ
「変化できる人」(赤羽雄二著)では、こういわれています。
「自分の柄じゃないし……」と思うのは、趣味の領域だ、と。
「自分の柄」とは思い込みであり、決めつけであり、そこに従う必要なんてまったくない。
そして。
あらゆる方法を使って、自分を説得する。
子どもにアレコレと言い聞かせるような要領です。
- 百歩譲ってやってみよう
- しゃくに障るけどやってみよう
- だまされたと思ってやってみよう
- ダメ元だと思ってやってみよう
- ○曜日だけ、午前中だけやってみよう
- そうまで言われるならやってみよう
- 誰にも頼れないと思ってやってみよう
- 負けるわけでもないのでやってみよう
本当に変化するためには。
他人から、「どうしちゃったの?」と思われるくらいの姿勢が必要。
ポジティブ・フィードバックの注意点
褒めた直後に問題指摘はNG
褒めた直後に問題を指摘してしまうこと。
よく、やりがちです。
「それはすごいね。でもさぁ……」と。
そのとき、相手はこう思います。
信頼関係の構築にはならなくなってしまうので。
「褒める」と「指摘する」は、分離する
これは大事。
- 褒めた直後の問題指摘は、絶対にダメ
- 必ず、切り離す
見きわめは、半年で
何をしても、どうしても相手が変わらない場合もあります。
励まし続けても変わらなかったら、半年くらいで見切りをつけたほうがいいともいわれます。
どうしようもなく、「相手に問題がある」という場合も、あるものです。
- どうしても相手が変わらない場合は、半年で見切りをつける
対等な立場の人や、目上の人にはアクティブリスニングを
「褒める」となると、上から目線だと思われてしまうことも。
だから。
対等な立場の人と、目上の人にはNGです。
ポジティブ・フィードバックは後輩にだけ。
対等&目上の人には、アクティブ・リスニングです。
ひたすら聞くだけ。
- 対等・目上の人にはアクティブ・リスニング
- ポジティブフィードバックは、失礼になるのでNG
どんなときも、腹を立てないことだな。
かなり難しいけど、訓練してみよう。
考えてみよう
- 誰にどういうポジティブ・フィードバックをすべきか
- どうすればネガティブ・フィードバックをやめることができるか
- どうすれば話す量を減らし、アクティブリスニングできるか
- どうすれば相手に関心を持ち、真剣に話を聞くことができるか
- 自分はどういうとき、ポジティブ・フィードバックがうまくできないか
- ポジティブ・フィードバックが身についている人はどうやって実行できていると思うか
- 毎日10回以上ポジティブ・フィードバックをするにはどうしたらいいか
- 会社全体でポジティブ・フィードバックを徹底するにはどうすべきか
- どうすれば「話す:聞く」を7:3ではなく、3:7あるいはそれ以上にできるか
- どうすれば、いつも相手の話に関心を持ち、真剣に聞くことができるようになるか
- 適切な質問を次々にすることで課題や解決策の深堀りをするにはどうしたらいいか
- 相手が信頼して話してくれるためには、どういう心構え、価値観を持っている必要があるか
まとめ
- 褒める
- 感謝する
- ネガティブに言わない
ただし、心ない言葉では意味がありませんよね。
「褒める」ためには、「感謝」の気持ちがあることが大前提。
「やってくれて当然」ではなく、どれだけ「感謝」の気持ちをもてるか。
そして、「感謝」を表現できるかどうか。
ポジティブ・フィードバックをすることで、感謝が増えていき、豊かな日々になるのかもしれません。
認め・認められるという空気感のなかで、関係性もよくなっていく。
仕事だけではなく、普段からの実践が大事です。
これは、あまりにも文化に根づいてないので、本当に難しいです。
とにかく、何度も何度も思い出していくしか、ありません。
それでも。
叱責と罵倒の文化は、やはり変えていきたい。
だから、自分から。
ということで。
- ネガティブなフィードバックをしてないだろうか?
- ちょっとしたことでも感謝を伝えているか?
- 谷底に突き落として育てようと思ってないだろうか?
- どんなフィードバックをすれば、相手はやる気が出るだろう?
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