「自分を知りたい」「人にもわかってほしい」と思いつつも、「自分を知る」という意味を知らないのでは?
この本を読んで、そう感じました。
「自分を知る」ことについて、知っていない、と。
「メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問」
by 細谷功
さて、あなたにもこんなクセ、ありませんか?
- 「貸した金(恩)」はいつまでも覚えているが、「借りた金(恩)」はすぐ忘れる
- 「いまの若い人」は頼りなく見える
- 「自分だけが損をしている」「あの人だけが得をしている」と思う
- 他人のことは安易に一般化するが、自分は特殊だと思う
- 他人の失敗は「実力がないから当然だ」と思うが、自分の失敗は「運が悪かった」と思う
- 他人に対しては「一部分だけを見て正論を吐くな」と思うのに、自分は一部分しか見ないで他人に正論を吐く
- 「上司の短所」はいくらでもあげられるが、自分は「良い上司」だと思っている
当てはまるなら、「メタ思考ができていない」=「自分に気づけてない」状態。
自分に気づこうともせずに、「自己分析しなきゃ」と余計なところで努力をしすぎではないか?
そんな気さえ、してきますね。
自分で自分に気づいてないのだから、誰かにわかってもらえないのも当たり前。
まずは、「自分に気づく」ということに、気づいてみましょう。
伝え方が変われば、「わかってもらえない」ストレスも減らせるはずです。
「メタ思考」の話は、とても役立ちますよ。
「メタ」って何?
自分を外側から眺められるかどうか
「メタ思考」のほかに、「メタ認知」という言葉もあります。
- メタ思考
- すべての物事について、
- 「一つ上の視点で」考えてみること
- メタ認知
- 自分自身について、
- 「もう一人の自分の視点で」を客観視してみること
対象が、「すべて」か「自分自身」かの違いだけで、ほぼ同じ意味です。
要は、今の視点よりも外側から眺められるかどうか、ですね。
「メタ」を持つべき理由
- メタの視点を持つ目的は?
- 「気づき」を得ること
- 何に気づく?
- 「思い込み」や「思考のクセ」
- 「自分は間違っているかもしれない」こと
- 結果、どうなる?
- 視野が広がり、成長できる
特に、次の項目に当てはまっている場合は要注意。
- 感情にまかせて行動する
- 思い込みが激しい
- 常に具体的でわかりやすいものを求める
- (悪い意味での)自信満々
- 他人の話を聞かずに一方的に話す
- 「自分は特別だ」という意識が強い
これでは自分に気づけないため、自分の本当の願いを達成することが難しくなります。
「最近の若者」発言は、「非メタの権化」
「メタ」がないと、自己矛盾におちいる
自己矛盾とは。
- 「批判する人って生産的じゃないよね」という批判
- 「人の悪口をネットで言っているやつは許せない」というネットの悪口
- 「代案を出さずに反対するのはやめろ!」という反対意見
- 「人の話を聞くのが大事だ!」という一方的な話
- 「マニュアル通りにやるな!」というマニュアル
- 「私にはポリシーがありません」というポリシー
- 「抽象化・一般化なんて無意味だ」という一般化
- 「人のアドバイスは鵜呑みにするな!」というアドバイス
- 「傾聴力が大事だ」という一方的講演
- 「うちの部下は、すぐ他人のせいにする」と言う上司
よくよく考えると、笑えてきますよね。
けれども。
いざとなると、本気でそう言ってしまうのが怖いところ。
自分で気づけないからこそ、「自己矛盾」です。
何に気をつければいい?
構造に注目してみると、見えてきますね。
- 「批判」という批判
- 「反対」という反対
- 「一般化するな」という一般化
つまり、「◯◯」と言いつつ、自分も◯◯してないか?
ちょっと考えてみて、意見を修正してみましょう。
「近頃の若いものは不甲斐ない」という類の言葉は、「非メタ思考の権化」とでも呼べる発言です。
(by メタ思考トレーニング)
「最近の若い人は」と、言ってしまうこともあるし、そのセリフを聞いて不快感を抱くことも、たくさんあります。
この発言こそ、「非メタの権化」。
つまり、「自分に気づけてない人」の常套文句だったのです。
その理由は。
- 自分の若いときのことは棚にあげている
- その構図はいつの時代でも一緒なのに、自分たちの時代だけ特殊視している
- そういう若い世代を作ったのは自分たちの世代だということに気づいていない
「言ってること」と「やってること」は違う
自分が見えている世界と他人が見えている世界は通常大きく異なっているのです。
(by メタ思考トレーニング)
よく思いますね。
ハタから見てると、なぜ、そんなことを言いつつ、それができるのかと、理解に苦しんだりしますが。
でも実は……
自分も同じだった
これにはちょっと、恐怖心さえ抱きます。
ただ、よくよく考えると、「言ってること」と「やってること」が違うのは、意外と当たり前のことだったんです。
なぜなら。
- 言ってること
- 自分から見た、自分の姿
- やってること
- 他人から見た、自分の姿
「自分がやってる姿」を、客観的に見ることができないため、気づけないんですよね。
もちろん、他人の見方が間違っていることもあると思います。
真意が伝わらなかったり。
一部しか見てくれなかったり。
その逆で、「自分が気づけてない」ということも多々ある。
そこはちょっと、疑ってみたほうがいいのかもしれません。
自覚しているよりも何(百)倍も自己中心的、あるいは自分が他人を見ている視点と自分自身を見る視点とでは異なってしまっている(ことに気づいていない)と考えるぐらいでちょうどよいと言えます。
(by メタ思考トレーニング)
指摘されれば、恥ずかしくなるけれど。
なかなか気づけないので、「メタ・メタ」と心がけていきたいものです。
逆に言えば。
他人のことも、批判するのではなく。
「人間だからね」と思っておいたほうが、自分に返ってくることを防ぐことにもなりますね。
自分では気づけていない「自分」が、いるのではないか?
発言する前に、考えてみよう。
そのための、「メタ思考トレーニング」。
この本には、トレーニングの方法がたくさん書いてあるので、とても面白く読み進めることができます。
そのうち、個人的に特に印象的だった3つを、ご紹介。
メタ思考をするためのトレーニング
相手の心を、メタのレベルでとらえる
スティーブ・ジョブズは「人は形にして見せてもらうまで自分は何が欲しいのかわからないものだ」という言葉を残しています。顧客が発する言葉は常に「いまあるものの改善」でしかありません。顧客の心の声を「メタのレベルで」とらえることではじめて革新的な解答を出すことができるのです。
(by メタ思考トレーニング)
「アンケート結果の中に答えはない」とは、よく言われることですね。
このことは、ビジネスだけでなく、身近な人との付き合いにも当てはまると思います。
「ちゃんと言葉にしてくれなきゃわからない」
この不満はありがちですが。
本人でさえも、わかっていないのです。
「察してほしい」がNGなのもわかってますが。
それでもやはり、ちょっとは察してくれないかなぁ…とも望んでしまう。
「きちんと言葉に」なんて、誰もできないから
「便利な商品」を考えれば、わかります。
発売されたら、「こんなのが欲しかった!」と思うけれど。
存在してなかったときは、思いつきもしなかったですよね。
「察するべき」というよりも、メタのレベルで考えられるかどうか。
そこを考えた結果が、iPhoneの誕生だったわけで。
そう思うと、「ちゃんと伝えてほしい」と要求ばかりするのも、惰弱であると言えるかもしれません。
「相手の心をメタのレベルでとらえる」。
難しいですが、「ちゃんと言葉にしろよ」と批判するよりも、ずっとよさそうです。
誰もが、本当の望みなんて、言葉にできない。
- もし顧客に何が欲しいのか尋ねたら、「もっと速い馬が欲しい」と答えただろう(by ヘンリー・フォード)
「自分には見えてない世界がある」と思うようにする
そう思ったときこそ、メタトレーニング。
自分には見えていない世界があるんです。
自分も同じことをしているかもしれないし、相手は正しいことを言ってるのかもしれない。
私もしょっちゅう失敗してしまいます。
相手にいろいろ文句を言ったはいいけれど、ふと気づくと、自分も同じだったこと。
「なぜ?」そもそもの目的を考えるようにする
問題を解く前に、「問題そのものについて」考える
たとえば、こんなとき。
- 何かを依頼されたとき
- 慣例化しているルーチンワークがあるとき
- 悩んでいることを解決しようと思ったとき
そもそも何が問題か?
実行する目的は何か?
たとえば会社で。
「ルールだから守って」と言われたとき。
そもそも必要なのか? を考える。
「◯◯について調べて」と言われたとき。
いきなり調べ始めるのではなく、まずは目的を確認する。
勝手な判断でスタートして、ぜんぜん見当違いだったという失敗、ありがちですね。
いかに自分が、目的を意識せず、「言われたとおりにやる」「決まりごとだからやる」という判断で動いているかがわかります。
「目的意識」、習慣化したいところです。
【メモ書き】メタ認知と、Why思考の習慣化ツール
「そもそも」論と「目的」を忘れず、常にメタ思考。
そのための訓練には、ゼロ秒思考のメモ書きがオススメです。
このことは、マコなり社長も動画でおっしゃってます。
メモ書きで、メタ認知力をアップさせる
誰しも人間なので、みんなイライラしたり、悲しんだりすることはあると思うんですね。
でも、こういった感情って、メタ認知することができれば、やがて消えると言われてます。
つまり自分がめちゃくちゃ怒っているときでも、「あ~自分怒ってるな」って気づくことができれば、この怒りの感情は、やがてスッと消えていきます。
(by マコなり社長)
イライラしたとき、怒っているとき、まず書いてみる。
- 「自分は今、イライラしているなぁ」と書いてみる
- →これが「メタ認知」
- 冷静に、次のアクションを書いてみる
- 文句を言う? 少し休む?
- 選択肢が増える
メモ書きで、「なぜ」を習慣化する
テーマは何でもいいんです。
その日起きたこと、人間関係の悩み、将来の目標などについて、紙に書き出してみましょう。
人間関係であれば……
- なぜ悩んでいるのか
- 相手はどう考えているのか
- どうやったら解決するのか
自分の気持ちだけじゃなくて、多面的にとらえていくことで、客観視することができます。
この、紙に書き出すことを繰り返すと、紙がなくても同じような思考ができるようになっていきます。
(by マコなり社長)
メモ書きには厳格なルールがなく、何を書いてもいいものです。
ただ、「なぜ~~なのか」という問いを立てることは、とても推奨されています。
普段から「なぜ」を考える習慣がないのに、いざというときに「なぜ」を問うことなんて、できないですよね。
だからこそ。
1日10分、毎日のメモ書きで訓練を。
まずは小さなことから、「なぜ」を考え続けてみましょう。
例
- なぜ、自分は怒っているのか
- なぜ、運動が続かないのか
- なぜ、この仕事(課題)をやるのか
ここでのポイントは、発散→収束(結論)という流れです。
自分の気持ちを発散するだけでは、次の行動につながりません。
たくさん発散したら、「じゃあ、どうしようか?」という結論まで書くことをお忘れなく。
詳しくはこちらから。

ゼロ秒思考は、簡単に毎日できるので、かなりオススメです。
「メタ思考とWhy思考を鍛える」という目的観を持つと、なお効果的です。
まとめ
- 考えるときは、「一つ上の視点」を心がける
- 「目の前だけ」は、視野が狭い
- 「思い込み」「自分の間違い」に気づくことが、メタレベル
- 思い込みは、必ずある
- 「最近の若者」発言は、非メタの権化
- グッと飲み込もう
- 「言ってること」と「やってること」は違うものだと意識する
- 自分の行動には、気づいてない
- 相手の心も、メタレベルでとらえてみる
- 「きちんと言ってくれ!」は不毛
- 「自分には見えてない世界」があることを忘れない
- 世界を広げるチャンスだと思う
- 「なぜ?」と「そもそも」の習慣化
- 毎日、小さなことから訓練を
- 一番のオススメは、毎日のメモ書き
特にこんな人は、メタトレーニングが必要不可欠。
- 感情にまかせて行動する
- 思い込みが激しい
- 常に具体的でわかりやすいものを求める
- (悪い意味での)自信満々
- 他人の話を聞かずに一方的に話す
- 「自分は特別だ」という意識が強い
「相手を知り、己を知れば百戦にも勝てる」とは中国の故事ですが。
相手を知ることも、自分を知ることも、とても難しいですよね。
「自分を棚に上げてイタイ発言」なんて、日常茶飯事のことです。
意識するかしないかだけでも、ずいぶん変わるはずです。
ぜひトレーニングしてみてくださいね。