言葉は武器になるけれど、いつもと同じ言葉では武器にならない。
新しい意見は、新しい言葉から生み出されます。
言葉が意見を伝える道具であるならば、まず、意見を育てる必要がある
「『言葉にできる』は武器になる」by 梅田悟司
では、どうすれば意見を持つことができるのでしょうか。
Contents
意見は、「形のない言葉」から生み出される
聞きたいのは意見であって言葉ではない
相手が聞きたいのは意見であって、言葉そのものではない
「言葉を磨く」とはいいますが。
もっと大事なことは、「意見を磨く」ことです。
自分の意見を語ることが大事なのです。
そのためには、2種類の言葉を理解すること。
「内なる言葉」と「外に向かう言葉」
- 内なる言葉
- 内側で「考える」言葉。自分の視点、本音
- 外に向かう言葉
- 他人に対して「話す」「書く」言葉
- 「内なる言葉」を意識し、観察し、分析する
- それを「外に向かう言葉」にしていく
まずは「内なる言葉」を分析して、意見を育てる
- 自分は今、何を感じているか
- 自分とは、どんな思考のクセがあるのか
- 自分とは、どんな人間なのか
料理(表現)は、素材(内なる言葉)で決まる
素材がよければ、味付けは必要最小限でいい。
「外に向かう言葉」とは、「化学調味料」と同じ。
人工的な味付けです。
「内なる言葉」という素材がよければ、味付けは少しでいい。
ちょっとした味付けだけで「伝わる言葉」になるのです。
内なる言葉に意識を向け続けていれば、自分だけが持っている視点に気付くことができるようになるまでに、そう時間はかからない。すると、自然と「今自分の頭にはこんな言葉が浮かんでいる」と認識し、自分の考え方のクセや思考を把握できるようになり、常に「自分の頭を覗いているもう1人の自分」の存在を意識できるようになる。

その昔、「雨」を描くことは誰にもできなかった
現代を生きる私たちにとって、雨は線以外の何物でもないように感じているが、それまでは「雨が降っているな」と漠然としか捉(とら)えられていなかった。
「雨」を絵に描くことはできなかったそうです。
「雨」を線で描いた世界初の人は、なんと日本の浮世絵画家!
形のない「雨」を、なんとしても描こうと思ったのが歌川広重
「雨」は、とらえどころのないもの。
形があるわけでもないし。
降ったてきたと思ったら、すぐに消えてしまう。
絵に描けるとは、誰も思っていなかった。
でも歌川広重は、どうしても描きたいと思った。
どうやって絵に描けばいいかと考えたからこそ、「雨」が描けるようになったのです。
【言葉は雨と同じ】すぐに消えるものを、なんとしても書き残す
「言葉」も「雨」と同じ。
どんどん降ってくるんだけれど、あっという間に消えてしまう。
形がなく、描きようのないもの。
それでも。
歌川広重のように、なんとしても描きたいという熱意で、言葉にしなければならないのです。
一度、形にしてしまえば、当たり前になる
今では、「雨」を線で描くのは、当たり前。
最初は描けないと思っても、頑張って描けば、いつしか当たり前になる。
だから、どんなにわからなくても、形にすることが大事。
歌川広重が雨を「線」で描いたように、努力の末に、自分の考えを書いていく。
それこそが、「考えを深める」ことであり、「意見を育てる」ことです。
脳のデータを取り出すには、書かなければならない
脳は、「思い出」領域をさまよっている
脳は、次の2つの領域にわかれるそうです。
- 記憶域
- 過去の思い出を保存しておく場所
- 思考域
- 新しいことを考える場所
考えがグルグルしたり、モヤモヤしたりするのは……
記憶域をさまよっているから
まさに「グルグル」しているのです。
パソコンでいえば砂時計マークの表示中。
グルグルグルグル、データの中を探し回っているのです。
思い出を探している。
記憶域は、セピア色でモヤモヤする
過去の思い出って、色でいえばセピア色。
ちょっとモヤっとしますよね。
だから、モヤモヤ
実は考えているのではない。
思い出そうとしているだけ。
記憶域だけで、思考域はまったく使われないのです。
考えているようで、思い出しているだけの状態が続いてしまい、いつまでも同じところをぐるぐると行き来することになる。
だから、書いて取り出さねばなりません。
思い出のモヤモヤを排除してから、思考域へ入る
モヤモヤとたまっているものを文字にする。
そうすると、記憶域がスッキリしてくるので、思考域が働くようになります。
いわば、データを外付けハードディスクに移し、容量を軽くするようなもの。
軽くならないと、脳は考え始めることができないのですね。
誰にも見せなくていいから大きく書く
内なる言葉と向き合う行為は非常に繊細であり「本当かな?」と疑念が湧いた時点で、すぐにうまく行かなくなってしまう。そのため、頭に浮かんだことを、自信を持って大きく書くことが大事なのだ。
誰かに見せるわけでもない。
だから、どんどん、大きい字で、自信を持って書いていく。
書くだけでも効果はありますが、そこからさらに考えを深めていくと、自分の中から意見が出てきます。
思考の「幅」を、拡大する
- 横軸:同じものを列挙する、違う観点で見る
- 縦軸:深堀りする
「幅を広げる」のが優先、「深める」のはその後
一つだけを突き詰めていくと、偏った見方から抜け出せなくなる。
まずは幅を広げること。
広げるとは
- いろんな観点から眺める
- 全体を俯瞰する
幅を広げるためには、次の2点が有効です。
- 真逆を考える
- 他人になりきってみる
1.真逆を考える
常に真逆を考え、逆転の発想をする
「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」(アルベルト・アインシュタイン)
考えてスッキリしただけでは、自分の枠の中でしかない。
いつもの自分の考えですよね。
だからこそ、あえて真逆を考えてみる。
真逆とは、今までの自分では絶対に考えなかったこと。
それを、あえて考えようとする。
イライラする ⇔ ワクワクする
行きたくない ⇔ 行きたい
そうしないと、自分の常識の枠から出られないからですね。
2.他人になりきってみる
人は常に自分という壁の中でしか物事を考えることができない状態にあるのだ。その壁を越えるためには、他人の視点から考えることが最も効果的である。
- 自分と正反対の性格の人ならどう思うだろう?
- 自分以外の人なら、このことをどう考えるだろう?
- ○○さんなら、どう思う?
- ○○さんの立場では、どう見える?
想像力が鍛えられますね。
新しい考えを受け入れるためには、自分の常識を捨てることが必要です。
「自分は・・・」という、自分へのこだわりを捨て、相手の立場になってみる。
相手の状況ならどう見えるのかを考えてみる。
別に、同意や共感をしなくてもいい。
仮説でいいし、受け入れる必要もないのです。
それでも、いったん、他人の視点で考えてみることが、自分の幅を広げることになります。
思考の「深さ」を拡大する
コツは、「なぜ?」「で?」「本当に?」
- なぜ?:理由をどんどん掘り下げていく
- で?: 結局、何? どうしたいの?
- 本当に?:もう一度、疑ってみる
ちょっとしたことでも試せますね。
- 「あ~イライラする」→「なぜ?」「で?」「本当に?」
- 「〇〇がわからない」→「なぜ?」「で?」「本当に?」
しっかりと深めていきましょう。
意見を育てることについては、こちらの記事もどうぞ。

「振り返り」の時間を大事にする
重要なのは、きちんと時間を確保して、自分と、自分の内なる言葉と向き合うことである。さらに言えば、定期的に時間を取ることで、自分と向き合い続け、習慣化することである。
ともかく、時間を確保することが大事です。
やみくもに経験を重ねるのではなく、そこからどんな意見と価値を生み出していくのか。
自分を向き合う時間をとり、考えることを習慣化しましょう。
まとめ
この本では、頭の中で考えていることを、「内なる言葉」と呼んでいます。
「内なる言葉」を育てることが、自分の意見を作ること。
「内なる言葉」を大切にしないと、表現する言葉は磨かれないのです。
頭の中にある言葉は、浮かんではすぐに消えていきます。
今、何を考えていたっけ?と、忘れてしまうことがほとんどですよね。
だからこそ、「内なる言葉」を認識した瞬間に、どんどん外に出していかないと、自分の意見が育たないのです。
「自分の意見がわからない」と言ってないで、トレーニングをするしかないなぁと感じました。
そしてときには、真逆のことも考えてみよう。
そのトレーニングが、自分の意見を育てます。
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