不満とイライラには、才能とチャンスが詰まっている。
ストレス発散だけで対処するのは、実はもったいない。
新しいアイデアを生み出せる人は、他の人よりも日常生活で「不満を多く感じる人」と言えます。
「考える練習帳」 by 細谷 功
イライラは消すものではなく。
創造性に変えるものだったのです。
ただし、放置していては、ただの愚痴。
必要なものは、「考える力」「考える練習」。
イライラしたら、抽象化と具体化
「考える」とは、「具体化」と「抽象化」を往復することです。
目の前の問題は、「具体」
- ひとつひとつの具体例
- 目の前の問題、悩み
- 部分
- 私だけが悩んでる
- 主観
- 私はこう思う
- 直観
- きっと、こうだ
「具体的に」といえば、わかりやすくて、詳しい。
ただ、「目の前の問題だけ」を見ているので、部分観でしかありません。
「私だけ悩んでる」「私だけ特殊だ」という心にもなる。
また、主観と直観はいいこともありますが、悪く出ると「感情論」に終始します。
「相手が悪い」と思い込み、相手を責めたけれど、よくよく確認したら「私のミスだった」ことも、よくある失敗です。
そうならないためにも、「抽象化が大事だ」と覚えておくと役立ちます。
全体観に立つのが、「抽象」
- パターン
- 似たようなケースはある?
- 全体
- 鳥の目で見ると?
- 客観
- 相手の立場は?
- 論理
- 根拠は?
抽象とは、全体像を見ること。
似たようなケースを探して、共通点を見たり。
相手の立場を考えたり。
根拠を探したり。
他人の意見を聞くのも、客観視(抽象化)するためですね。
「抽象→具体化」のプロセスでの、3つのポイント
重要なポイントは3点。
- 疑うこと
- 忍耐力
- 想像力
1.疑う:鵜呑みにせず、前提を考える
学んだり、他人の意見を聞いたりすることは、いいことですが。
そのまま鵜呑みにすることは、「考える」ことになりません。
知識や、他人の意見に接する姿勢
- それって、本当?
- この場合に、当てはまるのか?
- 条件が変わったら、どうなる?
- 自分なら、どうする?
ひとつひとつ疑う =検証するのです。
「鵜呑みにする」のは、「正解主義」にハマっているから。
私たちはつい、「唯一の正解」があると思ってしまいます。
だから、自分で正解を出せるとは思ってないし、自信がない。
けれども。
絶対的な正解はないんです。
すべてが「状況と場合によりけり」。
「正しい」「間違い」といった意見は、ほとんどの場合絶対的なものではなく「状況による」ものがほとんどだからです。
ところが、人間というのは自分が置かれた状況がすべての人と同じであるという前提で物事を論じがちです。
自分が成功したやり方は、すべての人にうまくいくはずだという思い込みからこのような「間違った」意見が世の中に広がるのです。
(考える練習帳)
「前提」がポイントですね。
「どのような前提で言っているのか」を、まず確認することが重要です。
たとえば、一人暮らしの立場と、家族を養っている立場では、判断が変わるのは当然です。
他人の意見を聞いたら、まず前提を確認し、真偽を疑って、「自分として」の正解を考えるのです。
アイデアを生み出すために
- 「前提」をハッキリさせる
- 他人の意見は疑う
- 「自分ごと」で考える
2.忍耐力:わからない苦痛に耐える
「わからない」ことを考えるのは、苦痛です。
ついカッとなったり、思い込みで判断してしまったりするのは、苦痛を避けているとも言えます。
「あー、面倒だ」という気持ちに、おちいりますよね。
耐えられないと、「短気」になり、「思い込みの判断」になってしまいます。
3.想像力:見えないものを見る
相手の気持ちは、目に見えない。
未来の状況も、目に見えない。
すべては、想像です。
解決策を考えても、それがうまくいくとも限りません。
「具体→抽象→具体」の思考力に、想像力は必須ですね。
視点を変えることで、想像力を鍛える
「自分目線」と「向こう目線」
私たちは、物事を「自分目線」でしか見れません。
自分が見ているのだから、当然です。
自分目線
- 自分から見る
- 現在から見る
- 手段から見る
- 根拠から見る
具体的にすると。
- 私は、こう
- 今、こうなってる
- こうすべきだ
- だって、○○だから
普段の話し方は、こうですよね。
ただ、文字にしてみると、やはり幼稚っぽく感じます。
いわゆる「感情のぶつけ合い」状態。
幼稚さから抜け出すためには、違う目線で見てみること。
それが「向こう目線」。
想像力が必要になります。
向こう目線
- 相手から見る
- 未来から見る
- 目的から見る
- 結論から見る
具体的にすると。
- 相手から自分を見ると、どう?
- 未来から今を見ると、どう?
- 目的は、○○を実現したい
- だから、こうする
ちょっと大人っぽいというか、スッキリした感じです。
視点を変えると、結論も出やすくなりますね。
これが、いざとなると難しいのですが。
「抽象化する」「視点を変える」クセがつくまで、練習です。
- イライラ → 抽象化 → 具体化
- 抽象化
- 鳥の目で全体を見る
- 要するに、何?
- 具体化(アイデア)
- 疑う
- 忍耐力
- 想像力
- 視点を変える
- 相手・未来・目的・結論
イライラは、アイデアに変えられる
失敗から学ぼう
「失敗から学ぶ人」と、「失敗しても何も学べない人」。
その違いは、知識を、気づきとアイデアに変えられるかどうかです。
- 知識
- 過去の集大成
- 気づき
- 現在、「何を知らないか」に気づく
- アイデア
- 未来への類推
学ぶと、「過去」が手に入る
「これは失敗だった」という時点で、「学び」ですね。
また、「どうしたらいいか、わからない」と思ったら、本を読んだり、人に聞いたりして、学ぼうとします。
だから、問題解決の第一歩は、「知識」。
「知識」とは、「過去」の集大成です。
過去のやり方。過去の経験。過去の文献。
「知識だけでは不十分」と言われる理由は、「知識」の性質が、過去だからです。
知識を取り入れると、「現在」が手に入る
学びの最大の効果はこれ。
- 自分は、何ができてないかが、わかる
- 自分は、何を知らないかが、わかる
つまり。
「現在」の自分の実態が、見えてきます。
なぜなら。
悩んでいるときとは、「何がわからないかが、わからない」状態。
だから混乱するんですよね。
私たちは、ついつい「自分は何でも知っている」と思ってしまいがち。
ちょっと経験が増えただけで、傲慢になってしまうものです。
だから、問題が起きたときに混乱する。
問題は、「自分は何でも知っているわけじゃなかった」と気づくチャンスになるのです。
- 万能感(傲慢)
- 自分は何でも知っている
- 油断
- 混乱
- 何が起きたのかが、わからない
- 何がわからないのかが、わからない
- 気づき(謙虚)
- 自分は、○○については知らなかった
- 思考の入り口
「何がわからないかが、わかった」となったときが、考える入り口です。
アイデアで、「未来」を生み出す
アイデアとは、具体的な解決策のこと。
そして、「自分ごと」です。
「自分の考え」こそが、「自分の未来」を創るものです。
「鵜呑みにした意見」ならば、「他人(世間)の未来」を生きるようなもの。
さて、どっちがいいでしょうか。
イライラは、「改善したい」欲求
ネガティブな感情は抑えなくていい
私たちはなぜ、不満を感じるのでしょう?
なぜ、イライラするのでしょう?
理由は、ひとつ。
改善したいから
不便だ。面倒だ。何もかもイヤ。
それはつまり、現状の問題点を発見したということ。
イライラは、実は大事なものだったのです。
「改善したい」は、善意の表れ。
大切に育ててみては、いかがでしょうか。
イライラを感じたあとの行動で、天と地の差になる
- 天:解決法を学ぶ
- どうすれば改善できるか?を考える
- 不満が、アイデアに変わる
- 地:グチを言う
- 飲んで騒いで気分転換
- 同じ不満を繰り返す
もちろん、グチを言ってもいいし、気分転換も重要ですが。
せっかく出てきた「改善のタネ」を、「さて、どうしよう?」と考えなければ、また繰り返すことになります。
だから、イライラする人に必要なのは、自責でも他責でもなく、「学び」であり、「考える力」なのです。
まとめ
「抽象化」を初めて聞いたときには、とても難しく感じました。
「具体的に言う」ことがいいことで、「抽象的でわかりづらい」表現は、ダメだと思っていたからです。
でも、学ぶたびに、「だから考えられないのか」ということが、見えてきます。
特に、他人の意見に、思い込みで反論してしまったり。
感情論でぶつかったりしてしまったときに、痛烈に感じる。
「考える力が足りなかった」と。
いつも、そのせいで落ち込んだり、悩みが迷宮入りしたりしてしまう。
そんなときに、「やっぱり抽象化能力」と思います。
「抽象化」は、学校では学びませんでした(記憶上では)。
こんなに大切なことなら、きちんと教えればいいのになと思います。
「人情」を重んじる文化もあるので、「抽象化」や「論理的」という概念が、なかなかなじまないというのも、ありそうですが。
ただ、あまり難しく考えずに、「要するに、何なんだろ?」と、結論をシンプルにするだけでも、考え方・伝わり方が変わると思います。
ぜひ、「考える練習」をしてみてください。
イライラや不満を、楽しく感じるようになるかもしれませんね。



問題解決には、読書猿さんの本がとってもオススメ。