ポジティブ思考のデメリットは、今や、あらゆる研究者が唱えています。
20年にわたる研究でさまざまな被験者、状況、そして手法で再現された結果をふまえると、「思考は現実になる」「願えば目標は達成できる」というポジティブな空想にふけり、それこそが成功への道だと思えというのは、まちがったアドバイスである。
人生は、そんなふうにはできていない。
(by 成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則
)
ポジティブ思考でうまくいかなかった経験って、結構あるのではないでしょうか?
個人的には、たくさん経験してきました。
ポジティブに考えれば考えるほど、つらくなったり。
「ポジティブにいこうよ!」という助言に、うんざりしてきたり。
そんな経験も、実はオカシイことではなかったんです。
なんと、日本人のDNAには「ポジティブ思考は合わない」とも言われているんです。
いろいろ悩んだ結果、見つけました。
オススメの方法が、きちんとした研究結果によって明らかにされていたのです。
簡単にまとめますので、ぜひ試してみてくださいね。
これを知ると、もう「ポジティブにいこうよ!」と言う気にはなれなくなると思います。
悩みを解決する4つの手順:最悪の事態を考える
ネガティブに考えることにも注意点があります。
いろいろ考えるとややこしいので、次の4つの手順だけ覚えてみてください。
- 状況分析
- 「今、どんな状況なのか?」
- まずは状況を、大胆かつ率直に分析する
- 最悪の事態を予測
- 「最も起きてほしくない、最悪の事態は何?」
- 失敗の結果、起こりうる最悪の事態を予測する
- 覚悟
- 「もしも最悪の事態が起きたら、どう行動しよう?」
- やむをえない場合には、最悪の事態を受け入れる覚悟をする
- 時間とエネルギーの集中(=行動)
- 「最悪の事態が起きないようにするには、どうする?」
- 最悪の事態を少しでも好転させるように、集中する
(この手順は)心理学的に見て、エネルギーを解放することなのだ。私たちが最悪の事柄を受け入れてしまえば、もはや失うものはなくなる。裏を返して言えば、どう転んでも儲けものなのだ。
(by 道は開ける)
予測し覚悟をしたら、行動する
- 状況分析
- 最悪の事態を予測
- 覚悟
- 時間とエネルギーの集中
4番目の「時間とエネルギーの集中」とは、つまり行動。
でも、たいていの場合……
- 最悪の事態を予測しては不安になる
- ため息をついて何もしない
- 何かしようとしても意欲がでない
こうなりがち。
そんなときに人は、「ポジティブに考えよう!」と思うわけですが。
そこに落とし穴が。
ため息をついて落ち込んでいる自分がイヤだから「ポジティブに考えよう」と思うのであって。
「解決のために行動しよう」という思考では、ないのです。
つまり、ポジティブに考えて不安を回避し、結局は何もしない。
「ため息をついて何もしない」のと、ほぼ変わらないですね。
最悪の事態を受け入れる重要性とは?
数え切れないほどの人々が怒りと混乱のために自分の人生を台なしにしてしまったが、もとはといえば最悪の事態を受け入れようとしなかったからである。事態を改善しようとせず、破滅に瀕しても、できる範囲内での救出作業すらしなかったのだ。運命を建て直そうとせずに、「経験と悪戦苦闘」したあげく、最後にはうつ病という心のしこりの犠牲者となってしまったのである。
(by 道は開ける)
「最悪の事態を受け入れない」とは、こんな状態
- 「なぜ、こんなことが……?」
- 「なぜ、私だけ……?」
- 「こんなはずじゃなかったのに……」
未来に対する不安も、同じ
- 「もし、こんなことが起きたらイヤだな」
- 「絶対に耐えられないだろうな」
- 「起きてほしくないな」
今の状況を受け入れられず、未来に起こるかもしれないイヤなことも、受け入れたくない。
受け入れたくないからこそ、悩んでると言えます。
起きてしまったことを受け入れることこそ、どんな不幸な結果をも克服する出発点となる
(ウィリアム・ジェームズ)
現実を受け入れる「ニーバーの祈り」
神よ、我に与えたまえ、
変えられないことを受け入れる心の平静と、
変えられることを変えていく勇気と、
それらを区別する叡智とを。
「ニーバーの祈り」は、心理学を学んでいると必ずといっていいほど出てくる、有名な祈り。
現実主義者の父:ニーバー
ニーバーとは、アメリカの神学者。
ニーバーは、神学者でありつつも「現実主義」という立場をとり、政府にも影響を与えた偉大な思想家だったようです。
「現実主義者(リアリスト)たちの父」とも呼ばれるほど。
空想的な理想主義(ユートピア思想)を、「現実から逃げているだけ」と強く批判し、多大な影響を与えた。
つまり。
空想によって心地いい気分にひたることよりも、現実的に何をするかのほうが大事。
「悪の存在」を認めなければ、分析して問題解決することは不可能だということです。
行動計画を立てる if ~ then プラン
夢や理想を考えることは、やはり大事
夢を見てなおかつ自分が直面しなければならない現実をしっかり見つめることによって、人生に正面から立ち向かう――生活のなかにしっかり実在する揺るぎないものとつき合う――ための力を蓄えることができる。
(by 成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則
)
夢を見たあとに、必ず現実も見る
夢や理想は、ゴールを描くことなので、悪いことではないはず。
問題は、「そのあと」なのです。
オススメの順番は、こう。
- 夢を見る
- 目標を思い描く
- 現実を見る
- 障害となるものを認識する
必ず、「夢→現実」の順で考えることが推奨されています。
私たちの心は、先に現実を見てしまうと、不安と恐怖しか抱けなくなるようです。
「夢→現実」を見たあとは……
次の行動に移すための「if ~ then プラン」です。
if ~ then:もしも~になったら、◯◯する
ifのあとに続く文は、「最悪の事態」=「障害」です。
「最悪の事態に接したら、◯◯しよう」とあらかじめ決めておくこと。
最悪なとき、障害が目の前にあらわれたとき、どう「行動」するか。
前もって考えておくことで、動きやすくなります。
小さなことから、if~thenを実行する
「最悪の事態」といっても、大きいことだけではありません。
日々の小さなことも、すべて 「if~then」で考えてみましょう。
- もしも眠くなったら……
- もしも甘いものが食べたくなったら……
- もしも周囲に反対されたら……
具体的なプランは、「見てしまうと誘惑に負けるから、視界から遠ざける」など。
- 夢を見る
- 目標を思い描く
- 現実を見る
- 障害となるものを認識する
- if ~ thenプランを考える
- 最悪の事態に対する心の準備
たとえば映画館でも、「最悪を考えて非常口を確認する」という小さな心がけをするかどうかで生存率が変わるという話もあります。

「自分は大丈夫」とポジティブに考える人ほど、思考力は落ちていくんですね。
では、なぜポジティブ思考は役立たないのでしょう。
ポジティブな空想は邪魔になる
私の研究では、将来についてただ夢見るだけでは、その夢や願いがかないにくくなることが確認されている。
(by 成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則
)
ポジティブな空想が役立たない理由
この手の研究によく使われる定番は、ダイエット実験。
さて、次のうち、どちらの女性のほうがダイエットに成功しやすそうでしょうか?
- 女優のようになった姿をうっとり空想する女性
- やせられなかったらどうしようという不安から、運動を続ける女性
どちらかといえば、2番の女性ですよね。
ポジティブ思考が役立たない理由
- ポジティブな空想は、一時的に心地よくさせてくれる
- 空想しただけで、目標達成したかのような気分になる
- 結果的に、努力(行動)をしない
実際に、行動しないパターンが多い
たとえば、こんなとき。
- ダイエット
- 禁煙
- 就職活動
- 大きなプロジェクトを達成できるかどうか
あらゆる場面において、先にポジティブな空想にふけった人ほど、成功しなかったというのです。
これには驚きですね。
そのため、「WOOP」の本の中では、次のようなことまで述べられています。
「デキる自分」を思い描くのを意識的にやめたほうがいいのではないか。管理職たちは、「自分にはすごい能力がある!」という空想をしないよう、社員を指導するほうがいいのではないか。
(by 成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則
)
「デキる! と思え」というアドバイスが多いなかで、意外な研究結果ともいえます。
力んでポジティブになろうとする必要は、ないんですね。
まとめ
- ポジティブに考えると、行動しなくなるリスクがある
- ネガティブに考えるだけでは、何も行動しない
- ネガティブを認めたうえで、どう行動するかを考える
- 具体的には、「4つの手順」= 「if ~ then」プラン
4つの手順
- 状況分析
- 最悪の事態を予測
- 覚悟
- 時間とエネルギーの集中 = 行動
if ~ thenプラン
- 「もしも~が起きたら、◯◯する」と先に決めておく
- 夢を見る
- 目標を思い描く
- 現実を見る
- 障害となるものを認識する
- if ~ thenプランを考える
- 最悪の事態に対する心の準備と行動計画
「次の行動が大事」と覚えておきましょう。
いざとなると、「落ち込むだけで何もできない」となるのは、人間心理のようです。
だから、前もっての「if ~ thenプラン」を。
自分の目を無理やりに最悪の事態へと向けさせ、それに対する心の備えを固めれば、妄想はことごとく消え去り、問題解決のため全力を集中できるような立場に自分を置くことができるのです。
(道は開ける)





