デカルトって実は、「心の弱さ=不安と後悔」を克服したいと思っていた人。
私は旅に出て、思考の実験をして、ある境地に達した。それで不安と後悔から一生、脱却できた。
(by デカルト)
デカルトはついに、不安と後悔から抜け出せたといいます。
弱い存在であっても、思考し続けることでその人の価値や尊厳が生まれる。
(by 仕事に使えるデカルト思考)
それは、「考え続けることだ」。
デカルトは、「不安から抜け出す考え方」を教えてくれる人です。
- なんとなく不安
- 漠然とした思いがある
- 考えても堂々めぐりになる
- パニックになりやすい
- 話が支離滅裂になる
- 何をやってもうまくいかない
- 後悔だらけ
具体的に言うと、こう。
- 感情を落ち着かせる
- 問題を、一つ一つ列挙する
- 整理する
- 順番に解決する
デカルトでさえも「弱さの克服」に苦労したなら、私たちの弱さなんて当たり前。
「なぜなら」の一つ覚えでいこう
不安と後悔から抜け出す、とっておきの方法
- 私は、Aだと思う
- 「なぜなら」○○だから
- やはり私は、Aだと思う
「なぜなら」を考えるのが、一番難しい
いざ「理由」を考えようと思うと、けっこうツラいです。
たとえば。
「なぜ、働いているの?」という質問に対して……
- だって生活できないし
- 働かなきゃいけないに決まってる
- そんなこと聞かないでほしい
理由ではありません。
理由がない = 考えてない
どうすればいいんだろう?
「なぜなら」を考えるコツは、「小・少」
とにかく小さく・少なく
たとえば。
- 世界を平和にするには、どうすればいい?
- 100個の時計の中から、いちばん欲しいものを選んでください
「大きい&多い」は、考えるだけムダ
だから。
小さく分割、少ない選択肢。
最低限の情報で生活するよう心がけよう。そうすれば決断の質は上昇する。知らなくてもいいことに価値はない。それを知ったところで無価値なものは無価値なままだ。
(by シンク・スマート)
「情報は多いほうがいい」は思い込み
「多いほうがいい」という思い込みを、「情報バイアス」といいます。
でも本当は。
情報は少ないほうが、決断の質が上がる
答えを出すときの3つのコツ
デカルトは、次の3つを推奨しています
- 両極端を避ける(中庸の道)
- 決めたら、やり抜く
- 自分の欲望を変える
1.不確実なときは、両極端を避ける
どれがもっとも真なる意見か見分ける能力がわれわれにないときは、もっとも可能性の高い意見に従うべき
(方法序説)
つまり。
「わからないけれど、たぶん、こっちかな」と思えればOK。
そして。
「賛成だ!」「反対だ!」ではなく。
どちらの可能性も踏まえておくと、あとで修正しやすくなるから。
2.たとえ疑わしくても、決めたらやり抜く
どんなに疑わしい意見でも、一度それに決めた以上は、きわめて確実な意見であるときに劣らず、一貫して従うこと
(方法序説)
「どんなに疑わしい意見でも」というのは、驚きですね。
デカルトは基本的に、「疑う」ことを重視しますが。
それでも、「一度決めたら、疑わしくても迷わず貫く」のです。
- 他人の意見には、慎重に、疑ってかかる
- けれども、決めたら迷わない
3.自分の欲望を変える
運命よりむしろ自分に打ち克つように、世界の秩序よりも自分の欲望を変えるように、つねに努めること
(中略)
われわれの力の範囲内にあるものはわれわれの思想しかないと信じるように自分を習慣づけること
(方法序説)
- 運命に勝つより、
- 自分に打ち克つ
- 世界の秩序を変えるより、
- 自分の欲望を変える
- 努力すべきは、
- 自分の思想のあり方のみ
たとえば。
相手の意見に賛同できないとき。
ついつい、「相手の考えを正そう」「この会社のやり方が悪い」と思ってしまいますよね。
そんなときは。
「相手を思い通りに変えたいという自分の欲望」を変えること
誰も完ぺきには、できないから。
「頭の交通整理」だけで、うまくいく
「頭の中を交通整理すること」を、「論理的」と呼ぶ。
なぜなら。
「悩む」とは、パニック・混乱状態のことだから。
デカルト思考とは、一番やさしい論理の方法
論理学を構成しているおびただしい規則の代わりに、次の四つの規則で十分だと信じた。
(by デカルト)
- 明証性
- 最重要:「なぜなら」
- 証拠を明らかにし、速断と偏見を取り除くこと
- 分析
- 小さく分割
- 問題を、要素に分けて考えること
- 総合
- 選択肢を少なく
- 単純なものから徐々に登っていくこと
- 枚挙
- 分析と総合の、繰り返し
- 見落としがないかチェック
難しい言葉を覚える必要はないので。
次のことだけ、心に刻んでくださいね。
論理とは、「順序どおりに・道を作る」こと
- 論理って何?
- 話の「筋道」
- 筋道って何?
- 「順序」
つまり。
順序どおりに・道を作るだけ
「頭がいっぱいいっぱい」「頭がグチャグチャ」の状態に、「筋道」を作る。
それが「考える」という作業なんですね。
人が通りやすいように、道を作る作業。
順序が乱れると、「交通渋滞」を引き起こす
「交通渋滞」とは、次のような状態
- 混乱
- パニック
- いっぱいいっぱい
- 堂々めぐり
- 支離滅裂
- なんとなく不安
- 漠然とした思い
- 何をやってもうまくいかない
- 後悔だらけ
たとえて言えば。
「靴を履いてないのにドアを開けようとする」こと。
順序を間違えるとパニック・堂々めぐりになりますね。
順序をチェックしてみよう。
目的は、人間らしさの発揮
せっかく人間に生まれたんだから、「人間的な理性の力」を鍛えていきましょうよ、というのがデカルトの教えです。
- 感情を落ち着かせる
- 問題を、一つ一つ列挙する
- 整理する
- 順番に解決する
それが「人間らしい思考」だといいます。
グチャグチャなものがあったら、キレイにしたくなるのが人間なのかもしれないですね。
論理とは、「考える道」のこと。
道のない道に、自分で「道を作っていく」。
それが、人間らしい生き方。
まとめ
デカルト思考をひとことで言うと。
「なぜなら」を考えること
- 私は、Aだと思う
- 「なぜなら」○○だから
- だから私は、Aだと思う
- 明証性
- 最重要:「なぜなら」
- 証拠を明らかにし、速断と偏見を取り除くこと
- 分析
- 小さく分割
- 問題を、要素に分けて考えること
- 総合
- 選択肢を少なく
- 単純なものから徐々に登っていくこと
- 枚挙
- 分析と総合の、繰り返し
- 見落としがないかチェック
- 感情を落ち着かせる
- 問題を、一つ一つ列挙する
- 整理する
- 順番に解決する
答えを出すときのポイント
- 両極端を避ける(中庸の道)
- たとえ疑わしくても、決めたらやり抜く
- 自分の欲望を変える
「我思う、ゆえに我あり」
有名な、「我思う、ゆえに我あり」とは。
すべての存在を、「これは本当か?」と、疑いに疑いぬいた結果……。
「自分の存在だけは疑えなかった」という結論の言葉。
「自分の人生、いろいろあるけれど」、または「何もないけれど」。
自分が存在していることだけは確か。
その自分の存在には、確信をもとうじゃないか、と。
つまり。
「自分には何もない」と思うときほど、考えるべき
「自分には何もない」と思ってしまうことが、ありますよね。
「何もない」とは、「外に」何もない、という意味。
- 地位、肩書、名誉、成功体験、お金、人気
- 何もない
- 自分って何なんだろう
↑これは、「外だけ」を見ている
でも。
「何もないと考えている自分」は、ある。
であるならば。
「人間らしい理性の力」を使って、「ちゃんと考えていきましょうよ」「それが人間として生まれた醍醐味でしょう?」というのが、デカルト思考です。
わたしは、学校で行われている討論というやり方で、それまで知らなかった真理を何か一つでも発見したというようなことも、見たことがない。というのは、だれもが相手を打ち負かそうと懸命になっている間は、双方の論拠を考量するよりも、真実らしさを強調することに努力しているからである。
(方法序説)
相手を打ち負かすための「真実らしさの強調」ではなく。
「真実」を追求すること。
「今、なぜそれが悩みなの?」「なぜなら……」。
参考図書
自分で判断するのが怖くなったら【デカルト思考】最善を選ぶ決心をしよう